鎖錠の楼閣

    一次&二次の小説やネトゲやゲームの記録記事を更新してるブログ

    Home > 神否荘の困った悪党たち > 【神否荘の困った悪党たち】第21話 だから俺、こんなにも普通でいられるんだ【オリジナル小説】

    【神否荘の困った悪党たち】第21話 だから俺、こんなにも普通でいられるんだ【オリジナル小説】

    ■タイトル
    神否荘の困った悪党たち

    ■あらすじ
    非現実系ほのぼのニートフルコメディ物語。宇宙人、悪魔、殺し屋、マッドサイエンティスト、異能力者、式神、オートマタと暮らす、ニートの日常。

    ▼この作品は【鎖錠の楼閣】、【小説家になろう】、【ハーメルン】、【カクヨム】、【Enty】の五ヶ所で多重投稿されております。

    ■キーワード
    日常 コメディ ギャグ ほのぼの ライトノベル 現代 男主人公 ニート

    ■第21話
    shikiko.jpg

    第21話 だから俺、こんなにも普通でいられるんだ


    「そう言えば式子さんって普段何してるの?」

     皆が中庭に集まっている夕食の時に、ふわふわと漂っている式子さんに尋ねてみた。
     昼間探しても見当たらないし、式子さんの部屋も用意されてないし、普段の生活が全くの謎に包まれてる式子さん。
     ざるそばをめんつゆに漬けて、つるつる啜っていると、式子さんは俺の膝の上に立って紙の顔を上げた。
    「普段は神否荘の安全を守っています。俗に言う守護神ですね!」カサ、と胸に手を当てて胸を張る式子さん。
    「守護神って俗かなぁ」疑問湧きまくりだ。「安全って、誰かに狙われてるのここ?」
    「はい。あらゆる国家、宗教団体、部隊、秘密組織、暗部などから、絶えず狙われています」コックリ頷く式子さん。
    「えっ、しゅごいやばみを感じる」思わずそばを啜る口が止まってしまう。
    「大丈夫です! そのために私がいるのですから!」腕を広げてくるっと一回転する式子さん。「私の戦闘力を侮ってはいけませんよ?」手を突き出して前屈みになった。「日色さんの戦闘力の半分が注ぎ込まれた、全世界、全宇宙、全時間軸の中で、二番目の戦闘力を保有する式神ですからね!」えっへんと腰に手を添えて胸を張るのが可愛過ぎる。
    「因みに一番ってやっぱり?」
    「勿論、日色さんです!」手を突き出して堂々と宣言する式子さん。
    「じゃあ実質式子さんって現状最強なんだね」こんなに小さくて可愛いのに最強の座を冠してるってしゅごいな。
    「最強だなんてそんな、私なんてまだまだですよ~!」紙が若干赤くなってるのがまた可愛い。「ところで亞贄さん。亞贄さん、最近神否荘の皆さんの生活を覗いているのだとか?」
    「おっ、バレてたか」再びざるの上のそばをめんつゆに付ける。「普段どんな事をして過ごしてるのか気になっちゃって」つるつるとそばを啜る。「皆、昔は悪い事をしてたのかも知れないけど、今はただの困ったさんだなって、改めて感じたよ」
    「困ったさんですか」楽しげに口の有る辺りに手を添える式子さん。「そうですね、皆さん、困ったさんかも知れません。でもそれは、今も昔も一緒です。私も、亞贄さんだって、日色さんでさえも、きっと困ったさんです」
     式子さんを見下ろしていると、彼女は俺の膝の上で正座をして、夜空を見上げていた。
    「俺も、式子さんも?」
    「そうですよ、皆、生きている限り、皆、困ったさんです」ヘッシリ頷く式子さん。「ですから、亞贄さん。そんな困ったさんの住人を、見守って、大切に管理してください。私から、改めてお願い致します」と言って静々と頭を下げられた。
    「おっ、そう言われたら断れないな」箸とめんつゆの入った椀を置いて、式子さんに向かって頭を下げる。「俺からも、宜しくね」
    「はいっ!」パァーッ、と嬉しそうな声を上げる式子さん。
     それだけ言って式子さんは再びふわふわと舞い上がって行った。
     その姿を見送りながら、俺はざるそばを啜り、ちょこっと考えた。
     俺も、式子さんも、祖母ちゃんでさえも、困ったさん。
     確かに、そうかも知れない。きっと、ナモだってそうだ。皆、どこかしらで、困ったさんなのだ。
     俺は、ニートだ。ネットとかで書き綴られる、社会不適合者の一人なのだろう。社会に貢献できているとは言えない……そういう意味では、困ったさんだ。
     この神否荘でどれだけ上手く立ち回れても、世間的には困ったさんのままだ。
     そう考えると、とても納得できる。ここの住人は皆、ここではないどこかでは、しゅごい事をしている、しゅごい事が出来る、世界に欠かせない存在かも知れない。
     けれど、それは別の誰かにとっては、とても困る事をしていたり、強く言えば、有害な事をしていたりする、困ったさんなんだ。
    「何か俺、勘違いしてたのかも知れないな」
     メイちゃんにざると椀を返しながら、ぽつりと呟く。
    「どうかなさったのですか?」こと、と小首を傾げるメイちゃん。
    「ここの住人って、困ったさんしかいないと思ってたけど、俺の勘違いだったんだって、今気づいたんだ」ポン、とメイちゃんの頭を撫でる。「皆、普通の人だ。俺も、住人も、皆。だから俺、こんなにも普通でいられるんだ」
     メイちゃんは数瞬俺の顔を覗き込んだまま沈黙していたが、やがて表情筋を動かさずにパチパチと瞬きした。
    「――肯定。亞贄様も、マナ様も、動物界、脊椎動物門、哺乳綱、霊長目、真猿亜目、狭鼻下目、ヒト上科、ヒト科、ヒト属、ヒト種の通常個体であると定義されます」
    「うん、メイちゃんの言う通りだ」ポン、と改めて頭を撫でて、俺は「ご馳走様、美味しかったお」と微笑み、自室に戻っていく。
     俺は今、とても気分が良かった。神否荘の住人が困ったさんだったから、じゃない。俺や式子さんや祖母ちゃんでさえ困ったさんだったから、でもない。
     俺も神否荘の住人も、同じ困ったさんだから、嬉しいんだと思う。
     今日は良い夢見られそうだ、と思いながら、早々にベッドに潜り込む。
     明日はどんな困った事が起こるんだろうと楽しみにしながら、俺自身が困ったさんになってる事を自覚しつつ。目を瞑る。
     きっとそれが、俺にとっての幸せだから。

    ■3章 普通の人たち/了
    【後書】
     皆、困ったさんと言う事は、皆、普通の人と言う事。
     と言う訳で式子さんで3章締め括りと相成りました。式子さんの愛くるしさが伝わればいいな……!
     次回22話より【Enty】でのみ有料配信致しますので、【Enty】以外のサイトではこの話を以て完結と言う扱いにさせて頂きます。もしこの物語の続き、4章“映画館編”が気になるのであれば、【Enty】までお越し頂けると嬉しいです。

    【Enty】(日逆孝介の創作空間) https://enty.jp/hisakakousuke

     それでは、また皆様と【Enty】で逢える事を信じて……次回、「砂月と映画。」……お楽しみに!
    関連記事

    Comments

    post
    2017-03-20 18:31 
    日逆孝介 No.627
    > 更新お疲れ様ですvv
    >
    > 式子さんで締め括りとは、あなたわかってるわねvv
    > 断さんのイラストと相まって破壊力抜群ですw
    > すっかり困ったさんになってしまった亞贄君これからが楽しみです。
    >
    > 4章も楽しみにしてますよーvv

    感想有り難う御座いますー!

    (ΦωΦ)フフフ… 任しといたって!w
    断さんのイラストのお陰で可愛さが更に伝わりましたね!w
    皆、困ったさんなのです。今後も困った彼らから目が離せませんよっ!

    4章もぜひぜひお楽しみにー!
    2017-03-20 18:21 
    tomi No.626
    更新お疲れ様ですvv

    式子さんで締め括りとは、あなたわかってるわねvv
    断さんのイラストと相まって破壊力抜群ですw
    すっかり困ったさんになってしまった亞贄君これからが楽しみです。

    4章も楽しみにしてますよーvv

    Comment form

    Trackback

    Trackback URL