鎖錠の楼閣

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    【余命一月の勇者様】第17話 美味しいモノって言えばアレだよな!?【オリジナル小説】

    ■タイトル
    余命一月の勇者様

    ■あらすじ
    「やりたい事が三つ有るんだ」……余命一月と宣告された少年は、相棒のちょっぴりおバカな少年と旅に出る。

    ▼この作品は【鎖錠の楼閣】、【小説家になろう】、【ハーメルン】、【カクヨム】の四ヶ所で多重投稿されております。
    ▼表紙を断さんに描いて頂きました!

    ■キーワード
    異世界 ファンタジー 冒険 ライトノベル 男主人公 コメディ 暴力描写有り

    ■第17話
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    第17話 美味しいモノって言えばアレだよな!?


    「君達、いつまで寝てるつもりだね? もう到着したぞ」

     ペシペシと頬を叩かれる衝撃で目を覚ましたミコトは、眼前の席でだらしなく寝こけている三人をぼんやりと見つめた後、ここが馬車の中である事を思い出し、「あぁ、着いたのか」と大きく伸びをした。
    「改めて、昨夜は話を聞かせてくれて有り難う」馬車を先に降りたサボが、中を覗き込みながら小さく礼をする。「とても有意義な時間を過ごせたと、今も思っている」
    「そうか、だったら話して良かったよ」馬車を降りながらサボを見やるミコト。「街の中には入らないのか?」
     辺りを見回すと、どうやらヒネモスの街の正門前である事が分かった。早朝故か、人の気配は疎らだ。ジョギングしている老爺が、不思議そうにこちらを眺めながら走り去って行く。
    「昨日、この馬車で乗り付けたらちょっとした混乱が起きてしまってね。自重して、今日はこのままシュウエンにとんぼ返りさ」
    「あんた、シュウエンの人なのか」思わず大事な単語に噛みついてしまうミコト。「だったら、もしかしたらまた逢えるかもな」
    「君もシュウエンの住民なのかい?」意外そうに眉根を上げるサボ。
    「いや、俺はイトフユの村の出さ。これからシュウエンに行く用事が有るんだ」
    「そうなのか」納得したのか、首肯を返すサボ。「折角なら一緒にどうかな? ……と誘いたかったけれど、残念な事に急ぎの用事が有るから、先に行って君の来訪を待つ事にするよ」肩を落として、何かを思いついたように、礼服のポケットから紙片を取り出す。「そうだ、これを」
     紙片と思ったそれは名刺のようで、中にはサボの役職と、活動拠点の住所が記されていた。
    「シュウエンに来た時に時間が有ったら立ち寄ってくれると嬉しい。今度はネイジェ――こほん、“彼”の話ではなく、君の冒険譚が聞けるのを楽しみにしてるよ」と言って手を差し伸べるサボ。
    「あぁ、その時はまた宜しくな」サボの手を握り返し、固く握手を交わすミコト。
     やがて寝惚け眼で降りてきた三人と入れ違いに馬車に戻ったサボは、車窓の中から小さく手を振り、あっと言う間に見えなくなってしまった。
    「何か……ドッと疲れたわね……」疲れ切った声を漏らすレン。「肉体的に疲れてるんだけど、精神的にも……」
    「そうか?」不思議そうに、ケロッとした表情で小首を傾げるマナカ。「つーかよ、初めて馬車の中で寝たけど、すげー気持ち良いんだな! 俺また馬車の中でお昼寝してみてえなー!」
    「あたしは全身凝り固まって寝た筈なのに疲れてるわ……」羨望の眼差しでマナカを見やるレン。
    「レン、マッサージしようか?」クルガがレンの肩を揉み始める。「気持ち良い?」
    「あ~、うん、気持ち良いわ……」昇天しそうな表情で呟くレン。「クルガは疲れてないの?」
    「うん! 僕、寝たらスッキリしたよ!」ニパッと笑むクルガ。
    「何かあたしだけおかしい気がしてきたわ……」立ち眩みを覚えるレン。
    「ちょっと休憩してから集会所に向かうか?」レンの頭を小さく撫でるミコト。
    「ううん、平気よ。野暮用は早く済ませちゃいましょ!」と言って先に歩き出すレン。
     そうして四人が冒険者ギルドの施設――集会所に入ってすぐの事だった。受付嬢が「あーっ! ミコト君帰って来た!」とミコトを指差して大声を張り上げた次の瞬間、集会所の中が騒めき出した。
    「な、何……?」怯えた様子で周りを取り囲む冒険者の群れを見るレン。
    「オワリグマを殺さずに退治したって本当か!?」「昨日、ギルドの偉い人がやってきてミコトを探してたけど、ありゃ何だったんだよ!?」「お前なら何かやらかしかねねぇと思ってたけど、本当に何かやらかしちまったのか!?」
     喧々囂々と銘々に騒ぎ立てる冒険者の群れに、四人は為す術も無く質問の暴力に晒されるのだった。
    「はいストーップ! 気持ちは分かるけど、ミコト君が困ってるから、質問は後にしてーっ!」
     ゴォーンッ、と銅鑼の音が鳴り響いた瞬間、受付嬢の大声が弾けた。
     冒険者達はまだ何か言い足りない様子だったが、渋々と己の席に戻って行く。
     冒険者の群れから解放された四人は、何が何だか分からない様子のまま、受付嬢の元へと歩み寄る。
    「……何が遭ったんだ?」小声で受付嬢に尋ねるミコト。
    「そりゃこっちの台詞よ!」小声だが張りの有る声で応じる受付嬢。「昨日突然ネイジェ=ドラグレイって人から風ノ音鳥が届いて、それを支部長に話したら、ギルドの纏め役って人が飛んできて“咲原ミコトはどこにいる?”とか“ネイジェ=ドラグレイから風ノ音鳥が来たのは本当か?”とか、もー質問攻めで大変だったんだから!」
     受付嬢はそう言いながらも笑みを隠し切れない様子で、ひそひそとミコトに声を掛ける。
    「で、ネイジェ=ドラグレイってどんな人なの? 何か、凄い人だって言ってたけど」
    「俺も凄い人って事しか分からないが」あっけらかんと応じるミコト。
    「えー? そうなの?」不満そうに唇を尖らせる受付嬢。「何だぁ、面白い話が聞けると思ったのにー。――って、そうそう。ミコト君、君オワリグマを殺さずに退治したって?」
    「意味不明な言葉になってないか?」苦笑を浮かべるミコト。「オワリグマは単に子供達が食べるご飯を探していただけだったから、俺達の塩鮭を有りっ丈上げただけさ。そしたら、森の奥地に帰って行ってくれたんだ」
    「なるほどねぇ……あ、でね、依頼人の杣人なんだけど、その話を聞いたら“殺さずに解決して頂いて、本当に有り難う御座います。依頼金は満額支払わせて頂きます”って言って、これ……」スッと差し出したのは、お金が入った袋だった。「これ、依頼金満額の二万と、支部長が色を付けてくれたみたいで、プラス一万でしょ。で、更に昨日来た纏め役って人が、何だっけ……えーと、」額に指を添えて瞑目する受付嬢。「えー……と、――そう! ネイジェ=ドラグレイに逢えた功績がどうのって、プラス四万。計七万が、今回の報酬みたいよ」
    「なな、七万……!?」思わず大声を上げそうになって、すぐに口に手を当て、大声を無理矢理絞るレン。「そんな額の報酬、聞いた事無いわよ……!?」
    「あたしも初めてよ!」興奮しきりと言った様子でレンに同調する受付嬢。「これあれよ? 魔獣……それも十人くらいの冒険者が束になっても敵わないような奴を退治した時に支払われるような額よ? こんな大金、そうそう見られないわよ?」
    「そう言われると、」金袋を手に取るミコト。「重みが違うな」
    「あ、勿論利息として報酬の一割は、七万の一割だから、七千頂いたわよ?」ニッコリ笑顔の受付嬢。
    「え、何の話それ?」きょとんとミコトを見やるレン。
    「受託金が支払えない時は、代わりに支払って貰ってるんだ。その分、報酬の一割を支払う約束をしてな」と言ってからレンに耳打ちする。「これ、本当はしちゃいけない事だから、秘密にしといてくれ」
    「……そっか、あんたクルガに……」と言ってから口を噤むレン。「――分かった、内緒ね」
    「これだけあれば火の花は売らなくて済むな」小さな鞄をポン、と上から叩くミコト。
    「火の花!?」ガタッとカウンター越しに身を乗り出す受付嬢。「え、あ、ミコト君、火の花持ってるの……!?」
    「おう、その、ネイジェ=ドラグレイから貰ったんだ」コックリ頷くミコト。
    「……そ、それ、凄い希少価値が有るモノだって、知ってる……?」ゴクリ、と生唾を飲み下す受付嬢。
    「そうらしいな」小さく顎を引くミコト。「そんなに希少なのか?」
    「トレジャーハンターが血眼になって探す代物よ、それ……」興奮が冷めやらないのか、息遣いが荒いまま説明する受付嬢。「時価三十万……いや、五十万はするんじゃないかしら」
    「ごじゅッ」目が転げ落ちそうになるレン。「……う、嘘でしょ……?」小声で受付嬢に確認を取る。
    「寧ろミコト君が持ってる火の花が嘘じゃないのかって言いたいわよ!」ひそひそとレンに告げる受付嬢。「炎の花なら二百くらいの売値なのよ? それと間違えてない?」
    「いや、ネイジェは火の花だと言ってたな」平然と応じるミコト。
    「有り得ない……」すぅっと意識を失いかけるレン。
    「おっと、大丈夫かレン?」レンを抱き留めるマナカ。
    「だったらこれは尚更売れないな」と言って金袋を鞄に収め、受付嬢に向き直る。「暫くヒネモスの街を離れる事になるから、宜しくな」
    「え? そうなの?」微かな驚きを見せる受付嬢だったが、思い出したように手を打った。「そっか、旅をするって言ってたもんね。気を付けて楽しんできなよ~!」
    「おう、ありがとな」手を挙げた受付嬢の手とハイタッチを交わし、ミコト達は集会所を後にした。
    「旅費は充分稼げたし、今日は一日休みにしよう」三人の前で振り返るミコト。「美味しいモノを食べて、お風呂に浸かって、お布団で寝て、明日の花見に備えようぜ」
    「よっしゃーっ! 美味しいモノって言えばアレだよな!? アレしかないよな!?」涎を垂らしながらぴょんぴょん跳ねるマナカ。
    「そうだ、焼き肉だ!」と言って焼肉屋を指差すミコト。
    「ばんざああああい!」クルガの両手を万歳させながら跳び上がるマナカ。
    「ばんざああああい?」訳も分からずマナカに万歳させられるクルガ。
    「本当に肉が好きなのね……」呆れた様子のレン。「あたしもお腹一杯食べるわよ!」
    「全員、焼肉屋に突撃するぞ!」と言って駆け出すミコト。
    「行くぞクルガっ、レンっ! うおおおお―――――っっ!!」二人の手を引っ張って焼肉屋に突撃して行くマナカ。
    「うわあーっ」足が宙に浮いて流されるようにマナカに引っ張られて行くクルガ。
    「恥ずかしいからやめてぇぇぇぇっっ!!」引き摺られながら空いてる手で顔を覆うレン。

    ◇◆◇◆◇

    「ほら、そこの肉焼けてるぞ、食え食え」鉄板の上の焼き肉を菜箸で摘まみ、マナカの皿に投入するミコト。
    「おっちゃーん! ご飯お代わり!」空になった茶碗を差し出すマナカ。
    「あむあむ……」小さく切られた肉の切れ端を噛み噛みし続けるクルガ。
    「ちょっと、野菜も食べなさいよ野菜も! ほら、これももう焼けてるじゃない!」鉄板の上の根菜をミコトの皿に投入するレン。
    「寧ろ俺の皿、野菜しかないんだが。クルガ、もう一つどうだ?」鉄板の上の焼き肉をクルガの皿に盛りつけるミコト。
    「うめぇーっ! やっぱり焼き肉最高だな! おっちゃーん! このペラペラの肉もう一皿追加ーっ!」空の皿を差し出すマナカ。
    「あむあむ……」噛み締めるように肉を噛み続けるクルガ。
    「肉ばかり頼まないで野菜も頼みなさいよ! 済みませーん! 野菜の盛り合わせもお願いしまーす!」厨房に向かって大声を張り上げるレン。
    「レンもほら、分けてないで肉食え肉」肉を咀嚼しながらレンの皿に肉をよそっていくミコト。
    「来たぜぇ~! 俺の肉が来たぁ~! ミコト焼いて! 俺の肉! 焼いて!!」運ばれてきた皿をミコトに手渡すマナカ。
    「あむあむ……美味しい」至福の表情で陶然となるクルガ。
    「あ、ありがと。って自分で焼きなさいよそこぉ!」マナカとミコトの取引現場を見て菜箸で指差すレン。
     賑やかな焼き肉パーティは二時間以上も続き、初めて厨房から悲鳴が上がったのは、また別の話……
    【後書】
     綴り終えた後に読み返して気づきましたが、冒険開始当初にあらゆるものを売り払って七万の大金を手に入れたミコト君、たぶんこれ、家の中は今頃空っぽですね。家の中が空っぽでも七万の大金を手に入れられるのか怪しい所では有りますが、借金返済しつつお金を稼いで過ごしていたので、もしかしたら……とか脳内補完でお願いします(丸投げ)。
     次回、「楽しむのは得意なんだ」……お風呂に浸かって、のんびり過ごす彼らの様子をお楽しみに!
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    Comments

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    2017-02-18 21:11 
    日逆孝介 No.590
    > 更新お疲れ様ですvv
    >
    > やっぱ肉だよな肉!!
    > あぁーとっても美味しそうですw
    > 一夜にして有名人になってしまったミコト君たちw
    > 今後どうなっていくのかチョー楽しみでございますvv
    > でも、次回はのんびりw…それもありです!おおありです!!
    >
    > 次回も楽しみにしてますよーvv

    感想有り難う御座いますー!

    やっぱり肉です! 肉最高です!!
    しゅごい勢いで有名人になる道を進んでいく彼らの行く末は如何に!w
    そう! 次回はのんびり癒されるのです……!

    次回もお楽しみにー♪
    2017-02-18 21:04 
    tomi No.589
    更新お疲れ様ですvv

    やっぱ肉だよな肉!!
    あぁーとっても美味しそうですw
    一夜にして有名人になってしまったミコト君たちw
    今後どうなっていくのかチョー楽しみでございますvv
    でも、次回はのんびりw…それもありです!おおありです!!

    次回も楽しみにしてますよーvv

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