鎖錠の楼閣

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    【神否荘の困った悪党たち】第15話 ひゅーっ!【オリジナル小説】

    ■タイトル
    神否荘の困った悪党たち

    ■あらすじ
    非現実系ほのぼのニートフルコメディ物語。宇宙人、悪魔、殺し屋、マッドサイエンティスト、異能力者、式神、オートマタと暮らす、ニートの日常。

    ▼この作品は【鎖錠の楼閣】、【小説家になろう】、【ハーメルン】、【カクヨム】の四ヶ所で多重投稿されております。

    ■キーワード
    日常 コメディ ギャグ ほのぼの ライトノベル 現代 男主人公

    ■第15話

    第15話 ひゅーっ!


    「あああああああああ」

     外の景色に赤黒い校舎が映し出された途端、砂月ちゃんの呻き声が聞こえてきた。
    「えっ、なになに、何が起こってるの?」辺りに人がいなくてビビりんぐなんだけど。
    「これうわああああ自分の黒歴史だああああ」力の無い悶える声が響きまくってる。
    「ここどこっすか? 学校っぽいすけど」ラヴファイヤー君の不思議そうな声が聞こえる。「日本じゃないような気がするっすけど」そんな気までするんだ。
    「ここうわああああ自分が作ったうわああああ黒歴史空間ですうわああああ」何か今にも悶え死にそうな砂月ちゃんの声がする。
    「あらぁ~、砂月ちゃん、空間も作れるのね~」そんな“紙飛行機も作れるのね~”みたいな風に言わないでくださいマナさん。
    「おっ、あれさっちゃんじゃない?」ポリポリとポップコーンを食べながらシンさんが呟いた。
    「どれどれ?」辺りを見回すと、――いた。
     眼帯をした、黒衣の女の子。周りに四人の男女を従えた砂月ちゃんが、俺が一番最近見た姿の祖母ちゃんと相対している。
    「おいババア。どうやって我が魔圏に入り込んだ? 手前も逸脱者か?」
    「まけんってナニ? いつだつしゃってナニ?」シンさんのニヤニヤした声。
    「ああああああああ」砂月ちゃんが崩壊してる。
    「あんたら、若くて力が有るからって、やんちゃし過ぎ。その辺でやめときな」祖母ちゃんの静かな声。
    「ハッ、抑止力って事か手前は。――なら用は無い、消えろ」
     真っ黒な砂月ちゃんが睨み据えただけで、祖母ちゃんの服がトゲトゲになってしまった。
     でも血は出ないし、ポキポキーン、って音がしてる辺り、たぶん服の内側のトゲ、全部折れてる。
    「言って聞かない子は、お仕置きだね」
    「ババアに何が出来る? 俺の力は〈ゼロ・マスター〉……無機物を支配する、異能の中でも最上位の異能だぜ? 敵う訳が――」
     砂月ちゃんが祖母ちゃんに殴られて遥か彼方へ吹き飛んで行った。
    「〈クイーン〉!? 手前よくも――ッ!」
     四人の男女が歯向かおうとした次の瞬間には全員体を校舎の土に埋められるぐらいの勢いで頭を叩かれた。
    「反省しろ」
     祖母ちゃんの厳しくも優しい声に、誰も何も返せない様子だった。
     不意に景色が神否荘に戻ってくる。
     顔を真っ赤にしてぷるぷる震えている砂月ちゃんが見えた。
    「ああああ恥ずかしいよおおおお」蹲って悶え苦しみ始める砂月ちゃん。「ああああああああ」
    「砂月ちゃんの奴が一番ダメージが大きいんだけど」こっちまでダメージ受けるレヴェルだ。
    「さっちゃんのはまだまだ序の口っすよ! 僕の憶えてるっすか!? 魔王っすよ魔王!! ああああもうダメっす!! ああああああああ」ラヴファイヤー君がシンクロし始めてる。
    「メンタル弱過ぎニャ! 我輩を見習ってほしいニャ! この程度ではまるで動じニャい我輩を尊崇するニャ!」誇り高く顎を上に向けるニャッツさん。
    「あたし以外全員ワンパンで終わってるのに、寧ろよく耐えられてるもんだって感心するけどね」寝転んだままポリポリとポップコーンを食べてるシンさん。
    「えーと、じゃあこの辺でお開きにしますか」よいしょっと言いながら人生体感VRを持ち運ぶ。
    「こらこらそこの君、君のがまだ上映されてないぞ、トリなんだからしっかりしろよなー」くそう、シンさんが指差してくる。
    「そうですよ! 自分のこの黒歴史を払拭するには、もう先輩の黒歴史で上書きするしかないですよ!」砂月ちゃんが追い縋ってきた。
    「そうっすよ! 僕の黒歴史を上書きするには、孫君の黒歴史を堪能するしかないっすよ!」ラヴファイヤー君をぶっ飛ばしたくなってきた。
    「我輩も師匠の黒歴史には興味津々ニャ! きっとゲームでレベリングしてる時の映像が出ると確信しているニャ!」ニャッツさん、それは黒歴史って言わないんじゃないかなぁ。
    「ほら、皆さん待ちかねてますよ! 亞贄さんの人生、覗かせてくださいっ!」式子さんが周りをふわふわ飛び回り始めた。
    「しょうがないにゃぁ……」渋々と人生体感VRを廊下に置き直して、触ってみる。
     景色が変わり、小さな部屋が映し出された。
     俺の自室だ。そこに小さな俺がいる。たぶん、小学生くらいの頃の俺だ。
     隣には、さっき砂月ちゃんのVRでも見た、優しい風貌の祖母ちゃんが佇んでいる。
     夏の始まりを感じさせる、強い日差しが部屋を焼いていた。クーラーは点いていなかったけど、扇風機だけで、何故だかとても涼しかった。
     風鈴が揺れ、涼しげな音が部屋を包んでいる。
    「亞贄、今日は何して遊ぼうか」膝の上に座っている俺に、祖母ちゃんが優しく語り掛ける。
    「祖母ちゃんの話が聞きたいなー」足をパタパタ動かしながら呟く小さな俺。
    「祖母ちゃんの話ばかりじゃ飽きないかい?」
    「祖母ちゃんの話、好きだから」
    「そうかい。じゃあ……そうだね、夏だから、怪談でもしようかね」
    「幽霊の話?」不思議そうに祖母ちゃんを見上げる小さな俺。
    「そうだよ」
    「聞かせてー」パタパタと足を動かす小さな俺。
    「幼児化した先輩可愛過ぎませんか?」息遣いの荒い砂月ちゃんの声が聞こえてきた。「ハスハスしちゃいますよハスハス!」
    「本人の前で言っちゃう辺りがしゅごいよね」感動すら覚えるレヴェルだよ。
    「あぁ~良いっすね~」ラヴファイヤー君の涎を啜る音は聞かなかった事にした。「めっちゃ美味しそうっす……」やめて。
    「小さな亞贄さん可愛いです……あっ、勿論今の亞贄さんも可愛いですよ!」式子さんのどこかピントのずれた感想に苦笑が湧きそう。
    「トイレに幽霊が出たんだ」祖母ちゃんが話し始めた。
    「ふーん」
    「ナコちゃんって言うんだけど、そいつが言うんだ。いちまーい、にまーい、って」
    「ふーん」
    「何数えてると思う?」
    「わかんない」
    「トイレの数だよ」
    「ふーん」
    「それで祖母ちゃん、どうしたと思う?」
    「どうしたの?」
    「ぶっ飛ばしちゃった」
    「ひゅーっ!」小さな俺が楽しそうに口笛を吹いた。
    「アハハハ! アハハハハハ!!」シンさんが爆笑し始めた。「アハハハハハ!!」笑いが止まらない。
    「ヒーさん、こんな可愛い時期が有ったなんてビックリっすよ!」ラヴファイヤー君の驚いた声が聞こえる。「孫君も美味しそうだし、ここが天国っすね……」この人天国に行っちゃダメな人だ。
    「この幼児化した先輩とキャッキャウフフする日色さんのネタが今浮かんだので今度のイベントで80Pの漫画で販売する事にしました」やめて?
    「師匠に萌えてしまう時が来るニャんてニャ……覚者、言い値で買うニャ」やめよう??
    「すっかりお祖母ちゃんの顔になっちゃって……うふふ……」マナさんが完全に孫を見るお祖母ちゃんの顔になってる気がしてならない。あなた同級生でしょ。
    「あぁ……日色さん可愛過ぎます……」何かが落ちる音が聞こえた気がしたけどもしかして式子さん落下したのかな。
    「映像をAVIファイルで保存しました」やめてー。
     景色が神否荘に戻ってきた。
    「孫君が最後で良かったっすね! 皆の黒歴史が吹っ飛ぶレヴェルの和みっぷりっすよ!」グッとサムズアップするラヴファイヤー君。
    「自分はこれから創作活動してきます! 全国の日亞ファンを待たせてはいけない!!」ダダダッと自分の部屋に走っていく砂月ちゃん。
    「あー、面白かった。ポップコーン美味しかったよ、今度はアレだね、チキンもいいかもね」メイちゃんの頭をポンポンと叩くシンさん。
    「承服致しました。鶏を生成できる方法を検索します」錬金術でも始めそうなメイちゃん。
    「亞贄君、どう? 楽しめたかしら?」おっとりと頬に手を当てるマナさん。
    「そうですね、しゅごい楽しめましたし、これで皆とも、少しは距離が縮まったかなぁ」
    「親近感湧きまくりですよね! ねっ、亞贄さん!」式子さんが嬉しげに俺の周りを飛び回る。
    「距離は縮まったニャ! 師匠! 我輩とゲームをしてもっと親睦を深めるニャ! それがいいニャ!」袖を口で銜えてグイグイ引っ張り始めるニャッツさん。
    「ニャッツさんは積極的だなぁ」
     やがてサイコキネシスで体が浮き始め、ふわふわとニャッツさんの部屋に運ばれて行くのだった。
     皆、悪党だった時期が有るけど、その悪党らしさが完全に無くなってる今、ただの困ったさんなんじゃないかなって思ってしまった。

    ■2章 人生体感VR/了
    【後書】
     最後が亞贄君で本当に良かった(満面の笑み)。
     と言う訳で人生体感VR編完結です! 回想シーンを入れずに回想シーンを見ると言う試みでしたが、良い感じにコメディに纏まってホッとしております。
     次話から住人一人一人にスポットライトを当てた掌編を挟みつつ、彼らののんびりとした終わらない日常を綴っていく予定です。まずはラヴファイヤー君の話かな? ここからはストックが無いので今まで以上に気まま~に綴っていこうと思います。お楽しみに!
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    Comments

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    2017-02-15 06:20 
    日逆孝介 No.588
    > 更新お疲れ様ですvv
    >
    > いやぁ~まじでよかった、亞贄君が最後でw
    > 無事完結した人生体感VR編ですが、面白かったですぞー
    > 神否荘の住人と日色さんとの関わりがよーくわかりましたvv
    > それにしてもマナさんすごい物をつくったもんだw
    >
    > 次回も楽しみにしてますよーvv

    感想有り難う御座いますー!

    本当にww亞贄君を最後に残したのは正解でしたw
    人生体感VR編、面白かったと言って頂けて嬉しいですぞー!(´▽`*)
    さすマナって奴ですね分かります!w

    次回もお楽しみにー♪
    2017-02-15 00:57 
    tomi No.587
    更新お疲れ様ですvv

    いやぁ~まじでよかった、亞贄君が最後でw
    無事完結した人生体感VR編ですが、面白かったですぞー
    神否荘の住人と日色さんとの関わりがよーくわかりましたvv
    それにしてもマナさんすごい物をつくったもんだw

    次回も楽しみにしてますよーvv
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