鎖錠の楼閣

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    【戦戯】EX06.その後の武器商人と科学者【オリジナル小説】

    ■タイトル
    戦戯

    ■あらすじ
    遠い未来。戦争が当たり前のように行われる荒廃した世界で、或る男に一本の電話が入る。「君にゲームをして貰いたいんだ」……それが悪夢の始まりだった。――ひょんな事からチームを組んだ四人の男女の、狂れたゲームの物語。

    ▼この作品はブログ【鎖錠の楼閣】、【小説家になろう】(http://ncode.syosetu.com/n3582cz/)、【ハーメルン】(http://novel.syosetu.org/73083/)、サークルサイト【風雅の戯賊領】(http://huuganogizoku.web.fc2.com/)、【カクヨム】(https://kakuyomu.jp/works/1177354054881703366)の五ヶ所で多重投稿されております。

    ■キーワード
    R15 残酷な描写あり 戦争 ライトノベル 銃撃戦

    ■第37話

     EX06.その後の武器商人と科学者


    「――さっ、始めましょうか」
     打ちっ放しのコンクリートで覆われた部屋の中で、鮎川が鎌状の兵器を手に、くるりと白刃を回転させる。
     その眼前には、得物を持たない刃蒼の姿が有った。白衣の姿で、武器らしい武器も持たずに鮎川を見据える。
    「こっちはいつでもええで。今日も本気で頼むな」
    「おー、じゃあ――」鎌状の武器――通称“かまちゃん”と呼ばれる機械鎌を振るいながら駆ける鮎川。
     躊躇も容赦も感じさせない一撃は、無防備だった刃蒼の首を刈り取るにはあまりにも容易かった。
     ――が、首が両断される寸前に刃蒼は咄嗟に姿勢を屈め、腰のベルトに手挟んでいたナイフを引き抜き、こちらも躊躇と容赦が欠落した動きで、鮎川の心臓を抉りに斬撃が走る。
     その瞬間を見極めていたかのように鮎川は上体を捻り、機械鎌を振るう遠心力に任せて足を地から離し、回転しながら刃蒼の斬撃を躱す――と同時に、蹴撃を刃蒼の鳩尾に叩き込む。
     心臓を狙った刺突を外された刃蒼は、飛来する鮎川の膝を左手でいなし、咄嗟に横合いに抜けるように踏み込むと、振り返りながら軸足に力を込め、鮎川が体勢を整えきる前に再びナイフによる刺突を繰り出す。
     刃蒼の一撃を見越していたかのような動きで鮎川は機械鎌をコンクリートの地面に叩きつけると、その反動で宙を舞い、空中で体勢を整えながら機械鎌を変形、銃撃モードへとシフト――落下しながら弾丸を叩き込む。
     弾丸が頬を掠る感触に身動ぎ一つ見せず、刃蒼は飛来する銃弾の軌跡を読むような歩法で距離を詰め、着地を決めた鮎川の心臓に三度刺突を突き込む。
     着地を決めた瞬間に鮎川は銃撃モードに切り替えた機械鎌でナイフの白刃を弾き、弾いた瞬間の隙を狙って機械鎌に備え付けられていた銃口を刃蒼に向け、――発砲。
     銃声が鳴る寸前に刃蒼は銃弾が射出される前の機械鎌を左拳で弾き、銃弾は明後日の方向へ。銃弾の防御に気を取られる暇も与えずローキックで鮎川の足に襲い掛かる。
     突然体勢を崩された鮎川だが、飛来するナイフの刺突を、崩れた姿勢のまま機械鎌で弾き、肘と背中だけで跳ね起きると、その反動で機械鎌を銃撃モードから斬撃モードへチェンジ、大きな鎌の白刃が刃蒼の頭上から襲い掛かる。
     頭上から振り下ろされる鎌の刃を半身逸らすだけで回避した刃蒼は、弾かれたナイフの反動を利用して自転、踊るようなステップで繰り返し鮎川の心臓を狙ってナイフを突き刺す。
     機械鎌の柄を使って、突き出されたナイフを弾くと、刃蒼の自転に合わせるように回し蹴りを繰り出し、刃蒼の顔面を強打する――つもりだったが、頬に触れる直前に刃蒼は左手で蹴撃を受け止め、ナイフを持つ腕で脛を圧し折りに肘を振り下ろす。
     刃蒼の肘が脛を圧し折る前に跳び上がった鮎川は、空いている方の足で彼の側頭部を蹴りつけ、その反動で自由になった足で更に反対側の側頭部も蹴りつけると、着地と同時にその首にナイフが添えられた。
    「……参った」機械鎌を下ろして両手を挙げる鮎川。
    「よっしゃ! 久し振りに勝てたでー、まだ負け越してるけど」フラフラしながらその場に座り込むと、突然全身から汗が噴き出る刃蒼。「ヴァーチャルリアリティ言うても、体感本物やもんな、緊張感がやっぱちゃうで」
     周囲の景色が突然切り替わり、計器類や端末が周囲を囲んでいる景色が映し出された。その中で刃蒼は全身を覆うウェットスーツのような衣服と、頭に被っていたフルフェイスのヘルメットを外す。
    「現実そのままの臨場感と、誰にも知られずに鍛練が出来る……VRの遣い方の最適解の一つよね~」同じようにウェットスーツとフルフェイスのヘルメットを脱ぎながら応じる鮎川。「お疲れ様~、動きとても良くなってたよ~、でももう少し踏み込み速くても良かったかも」
    「今のは武装解除目的の戦闘やったんやけど、それでも遅かった?」月から渡されたタオルで汗を拭いながら尋ねる刃蒼。「これ以上速なると、殺しかねへんねんけど」
    「やるなら徹底しなきゃ~」月から渡されたアイスをぺろぺろ舐め始める鮎川。「殺すつもりは無くても、殺すつもりで掛からなくちゃ。相手はあなたを本気で殺しに掛かっている“かも知れない”んだからね~」
    「せやな、忠告有り難く受け取っとくわ」タオルで拭き終わった後、月にタオルを返しながら鮎川に向かって人差し指を立てる刃蒼。「鮎川さん、もう一回手合わせお願いしてええかな? 今の感覚、体に叩き込んでおきたいねんけど」
    「うん、いいよー」笑顔を覗かせてアイスを月に返す鮎川。「刃蒼君、最近頓に鍛練を積むようになったけど、何か遭ったの?」
     ウェットスーツを纏いながら尋ねた鮎川に、刃蒼は「んー」と数瞬口ごもった後、照れ臭そうに頬を掻いた。
    「榊さんに手も足も出なかったんが、実は悔しゅうて……いざって時、せめて自分の身ぐらい守れる実力が無いとアカンなーって」
     その時の事を鮎川は知っている。クラウンと共に、彼が殺害される一歩手前まで攻撃された時、然しもの鮎川も怖気を覚えたものだ。榊にその気が無かったとしても、心臓に悪い映像である事には変わりない。
     どこかの戦場でうっかり戦死する事が有り触れている世界に生きている刃蒼。そして鮎川自身、武器商人と言う闇に身を置く人間なのだ、いつ誰に殺されても不思議ではないし、おかしくは無い。
     生き残るためには、生き抜くためには、必然的に強さが必要になる。殺されないための、死なないための、力が。
    「……そうだね、刃蒼君には、もっと長生きして貰わなくちゃならないし」フルフェイスのヘルメットを被り、鮎川は刃蒼を指差した。「わたしのために、もっと素敵なモノを開発して貰わなくちゃ♪」
    「そこは“友達には長生きして貰わないとね♪”とか言う所ちゃうのん?」苦笑をヘルメットで隠し、刃蒼は再び彼女と向き合った。「鮎川さんやって、僕より先に死なれたら困るで。誰が開発費捻出しとる思とんねん」
    「ふふっ、そうね」「せやろ?」
     二人は笑い合い、再びデジタルの世界で矛を交わす。
     互いに生き延びて貰うため、この世界で生きる理由のため。
     研鑽し、共鳴し、精錬し合う者として。
     この地獄のような世界を、歩いていく。
    【後書】
     これにて「戦戯」は完結に到りました。
     語りたい事は前回の後書で粗方語りましたので、後は読者に委ねようと思います。
     日逆孝介の綴る殺し合いの物語、最後までお付き合い頂きまして、誠に有り難う御座いました。
     またいつか出逢える事を祈りつつ、これにて筆を擱かせて頂きます。
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    Comments

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    2017-02-09 02:40 
    日逆孝介 No.578
    > 更新お疲れ様ですvv
    >
    > っていうか、「お疲れ様でした」ですね。
    > 八恵さんめちゃめちゃカッコいいですvv感無量!w
    >
    > 毎回とっても楽しませていただきました。
    > 彼らとまた会える日がくるといいなぁなどと思いつつ、アイス食べて寝よw
    >
    > ありがとうございましたm(__)m

    感想有り難う御座いますー!

    最後までお付き合い頂けまして、本当に有り難う御座いましたですよ!
    八恵さん、本編で出番が少なかったから、その分活躍できていたら、いいなぁ……!w

    毎回送ってくれる感想がとても素敵で、わたくしも何度救われた事か……!
    また逢える日が来たら、その時はまた改めて宜しくお願い致します!

    改めて、最後までお付き合い頂き、本当に有り難う御座いました!
    2017-02-09 00:24 
    tomi No.577
    更新お疲れ様ですvv

    っていうか、「お疲れ様でした」ですね。
    八恵さんめちゃめちゃカッコいいですvv感無量!w

    毎回とっても楽しませていただきました。
    彼らとまた会える日がくるといいなぁなどと思いつつ、アイス食べて寝よw

    ありがとうございましたm(__)m
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