鎖錠の楼閣

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    【戦戯】EX05.戦戯これくしょん~戦これ~【オリジナル小説】

    ■タイトル
    戦戯

    ■あらすじ
    遠い未来。戦争が当たり前のように行われる荒廃した世界で、或る男に一本の電話が入る。「君にゲームをして貰いたいんだ」……それが悪夢の始まりだった。――ひょんな事からチームを組んだ四人の男女の、狂れたゲームの物語。

    ▼この作品はブログ【鎖錠の楼閣】、【小説家になろう】(http://ncode.syosetu.com/n3582cz/)、【ハーメルン】(http://novel.syosetu.org/73083/)、サークルサイト【風雅の戯賊領】(http://huuganogizoku.web.fc2.com/)、【カクヨム】(https://kakuyomu.jp/works/1177354054881703366)の五ヶ所で多重投稿されております。

    ■キーワード
    R15 残酷な描写あり 戦争 ライトノベル 銃撃戦

    ■第33話

     EX05.戦戯これくしょん~戦これ~

    ※警告※この物語は【戦戯】のパロディであり、本編とは一切関係有りません※
    ※警告※この物語を読まなくても本編には差し障り有りません、本編だけを愉しみたい方は飛ばして頂いても全く構いません※


     或る日、刃蒼は最近SNSを賑わせているオンラインゲームに手を出していた。
     その名も【戦戯これくしょん~戦これ~】。何でも擬人化した傭兵が謎の生物と戦う、よく解らないゲームらしい。
    「そもそも傭兵を擬人化ってどないやねん。傭兵って人や無いんか」
     ツッコミを入れつつ登録を済まし、ログインの画面に辿り着いた刃蒼は、パスワードを入力して、ゲーム開始――!
    『せ・ん・こ・れ♪』
     若い男の声が聞こえて刃蒼は一瞬ビクリと肩を震わせた。
    「え、ちょっと待って? 擬人化って美少女化とはちゃうん? 男の子もおるんか? って今の声どう考えても少年って感じや無いぞ、いい歳した兄さんみたいな声やったぞ」
     思わずツッコミを入れまくる刃蒼だったが、続く声も男声だった。
    『――戦これ、始まります』
     現れた画面には、【GAME START 傭兵司令部へようこそ!】とある。イラストも描かれているが、着物姿の女に、ラフな格好の少年、紅いコートを纏った男、袈裟姿の坊主、アイスを頬張っている女など、面子が理解の遥か上を走っていた。
    「待って、待って待って、戦これって傭兵擬人化しとるんやろ? これホンマに傭兵か? どう考えても傭兵に見えへん輩が混ざっとるぞ。――いや、逆に考えるんや。傭兵をそのまんま擬人化しても意味無い。傭兵を擬人化したからこそ、こんなけったいな連中になった言う事やな、うん、理解した。大丈夫、僕はこの程度じゃ辞めへんで」
     ブツブツと呟きながら【GAME START】のボタンをクリックすると、『どうぞ、宜しくお願いシマス!』と若干ニュアンスの怪しい言葉が飛び出したが、気にせず文字を読んで行く。
    「何々……? あなたは傭兵を雇って戦場に出撃させ、謎の傭兵集団の妨害を看破し、作戦を成功させましょう……? ふむふむ? 陣形はこっちで決められるけど、戦闘は基本オートなんか。えーと、取り敢えず何や、隊長を選択してください……?」
     画面に映っているのは三人の男女だった。
    『ヴェルドです。作戦遂行のために犠牲は厭いません』
    「頼りになりそうな兄さんやな。だけどこいつ容赦無く味方切り捨てるとか書かれとんのやけど、アカンくないそれ?」
    『臥堂だ。取り敢えず殺していいか?』
    「アカン。この子アカンわ。傭兵や無い、快楽殺人者やこれ。つか傭兵の擬人化で子供ってええんか。少年兵って事か! こんな殺人大好きな少年兵おってええんか!!」
    『マーシャデース! ボク、こう見えてニンジャなんデスヨー♪』
    「傭兵や無いんかい!! ニンジャなん!? 傭兵や無くて!? これアレか、頭のネジが十本単位で吹っ飛んでしもた子の擬人化なんか。戦争被害者的なアレか」
     この三人の中からしか選べないようだった。
     指を組んで、そこに額を当てる刃蒼。
    「これアカンやろー……マトモな子おらんやん……イカレポンチばっかりやん……どの子選んでも後悔する気しかせんぞこれ……」
     数分悩んだが、結局マーシャを選択する事にした。
    『アナタがボクの指揮官デスネー? ヨロシクお願いシマース!』
    「うん、よろしゅうな」
     律儀に返事しつつ、メニュー画面と思しき画面に辿り着いた。
    「んーと? 【出撃】はそのまま戦闘に行くもんやろうし、【編成】は部隊編成の事かな? 【武装】は装備品を弄れるんやろう、【補給】は弾薬でも補給するんかな? 【休養】は体力回復とかやろうし、【雇用】は新しい傭兵を雇う感じやろ。うし、大体判った。まずは【雇用】からやってみよか」
    【雇用】をクリックすると、【募集】と【解雇】、【開発】、そして【廃棄】と項目が並んでいる。
    「【募集】をクリックっと……ん? 【募集】には【前金】と【範囲】、【給金】と【待遇】……って何やこれ? 何の数値を表しとんの?」
     どの項目も桁は三つまで有り、現在有している数値内であれば自由に割り振り出来る模様だった。
    「ふーん。じゃあまずはどれも数値30で回してみよか」
    『募集中! 残り時間00:20:00』
    「二十分かー。しゃーない、その間に【武装】でも弄ろか」
    【武装】をクリックすると、マーシャのカードが一番上に表示され、装備されているであろう武器は【突撃銃リューちゃん】と【狙撃銃フィーちゃん】となっていた。
     更にカードをよく見ると、【マーシャ】と記された名前の上に【忍】が丸で囲ってあった。
    「何やこれ。この子ホンマにニンジャ扱いなん? 傭兵のクラスにニンジャとか在るんかこの世界。どないやねん。ニンジャが何で狙撃銃やら突撃銃やら装備しとんねん。どないなっとんねん」容赦無くツッコミを入れ続ける刃蒼。
     ともあれ他に装備は有るのかとマーシャの装備を変えようとした途端、カードの中のマーシャが『ノーデスヨー! ボクはこの装備で戦えマス!』と装備が変更できなくなった。
    「ぇえ!? なにこれ、装備固定なんかこの子。えー嘘やろ、何のための【武装】なんよ……てかニンジャが狙撃銃と突撃銃離せんてどゆ事? 訳判らへん。ニンジャならクナイとか手裏剣とか刀や無いの?」
     鋭くツッコミを入れ続けて装備を変更させようとするも、マーシャは頑なに『ダーメーデースー! ボクはこの子達と一緒に戦うんデスー!』と決して離そうとはしなかった。
    「アカン、思わず夢中になって装備外そうとしてしもたけど、これ声のパターン変わるだけで外せん奴や。しゃーない、そろそろ【募集】も終わった頃やろし、見てみよか」
    【募集】の画面に戻ると、マーシャの『Oh! 新しい子がやってきてくれたみたいデスヨー!』と言う嬉しげな声が飛び出して来た。
    「どれどれ……」とクリックして確認すると、ぱぁーんと紙切れが飛び散るエフェクトが迸り、新しいカードが現れた。
    『臥堂だ。取り敢えず殺していいか?』
    「アカン。ハズレ引いてしもた」
     目つきの悪い少年の視線が更に強くなった気がした。
    「でも良かったー、最初にこの子選ばんといて。いきなりダブったりしたら悲しいからなホンマ。それもこんな危ない子傍に置いときたくないわ。あー、でもマーシャ一人やったら大変そうやし、一応部隊には配属させておくか……」
    【編成】を選び、二人目の所に臥堂を追加する。
    『ふん、しけた部隊だぜ』
    「この子めっちゃ腹立たしいやっちゃな。心証最悪やでマジで。まーええわ、戦場で実力伴っとれば文句あらへんしな。取り敢えずこの二人で出撃させてみよか」
    【出撃】を選び、出撃するポイントを選ぶ。――が、始めたばかりだからだろうか、一ヶ所しか選べなかった。
    「1-1言う事は、チュートリアル的な戦場なんかな? ほれ、行った行った」
     ステージ1-1を選ぶと、マーシャが『マーシャ、いっきマース!」と楽しげな声を上げて戦闘が始まった。陣形の選択肢が出てくる事無く、すぐ戦闘が始まった。
    『ニャフちゃ~ん、アターック!』
     マーシャがペタペタと銃撃を敵に加える。二人いた敵兵の一人が一撃で倒れた。
    「ぉおー! マーシャやるやん! 流石やで!」思わずガッツポーズを取る刃蒼。
    『死ねェェェェッッ!!」
     臥堂がポトポトと銃撃を加えるも、敵には当たらなかった。
    「うん、そんな気はしとった。全力でそんな気しかせえへんかった」仏のような顔でうんうん頷く刃蒼。
     敵兵の銃撃に対し、臥堂は平然と回避してみせた。ダメージは0である。
    「おー、何やこの子、攻撃力はしょっぱいけど、防御っちゅうか回避は高いんかな? ん? 夜戦に突入しますか……? そう言えば敵兵一人残っとったな。アレを追撃するかどうかって話か?」
     無傷の二人の傭兵を見て、刃蒼は即決した。
    「よし、行ってきーや!」
     画面が切り替わり、夜の背景の中で、マーシャと臥堂が残る敵兵一人に攻撃を加える。
    『みーつけたっ!』
     マーシャのスポーンと言う狙撃で敵兵が即死した。
     ファンファーレと共に、【完全勝利!】と言う文字が現れる。
    「おー! さっすがやなー! 臥堂にも、もちっと活躍してもらわななー」
    『新しい傭兵を見つけました』と言うテキストが表示され、先刻の【募集】の時のように新しいカードが出現した。
    「ぉお! なんやなんや!? いきなりレアドロップくるんか!?」
    『臥堂だ。取り敢えず殺していいか?』
     刃蒼が爽やかな表情でモニターを眺めている。
    「なにこのダブり率。いらんて。もういらんて。これ初期で選んどったら三人目やで? どんだけキャラおらんねん、臥堂ごり押し過ぎやろ、これアレか、DQで言う所のスライムみたいな扱いか」
     ボロカスに言われて、何だか臥堂がしょんぼりしてるように見えた。
    【新しい戦場が解禁されました】
    「ん? 新しい戦場が解禁された? 1-2に挑めるようになった言う事かな」
    『タダイマ帰還しマシター! 戦果リザルト確認して下サーイ!』
     マーシャの朗らかな声を聞いて、刃蒼は、「おっと、補給せなアカンのかな?」と【補給】をクリックすると、【給金】と言う項目からポイントが差引されるようだった。
    「マーシャやっす! それに比べて臥堂は弱い割にやったら金喰うんやなぁ」
     居た堪れない気持ちで臥堂を見てしまう刃蒼。段々と可哀想になってきて、臥堂をそっと部隊から外そうとしたが、そこでヴォイスが入った。
    『ちッ、また待機かよ……暇になっちまったな……どうしよう……』
    「うわぁ……もう何か可哀想通り越して悲しくなってくる奴やこれ……」
     臥堂を部隊に戻すと、
    『ふん、しけた部隊だぜ』
     臥堂を部隊から外すと、
    『ちッ、また待機かよ……暇になっちまったな……どうしよう……』
    「アカン、これおもろい。臥堂弄ぶのめっちゃおもろい。これ部隊戻ってくる時、絶対半べそ掻いとるやろ、間違いない」
     結局部隊には入れたままにしておいた。
    「【休養】って今必要なんかな? ちょっと見てみよか」
    【休養】をクリックすると、キャンプの背景が映り込んだ。
    「体力が減ったら休養させてください……ふむふむ。二人とも体力減ってへんし、いいんかな。ほんならまた出撃か? 1-1クリアしたし、次は1-2なんかなぁ」
    【出撃】をクリックし、再び戦場へ二人を送り出す刃蒼。
    『マーシャ、いっきマース!』
    「おー、行け行けマーシャ! 自分だけが頼りやで!」
     臥堂のカードが恨めしそうに見ている気がした。
     1-2に入ると、敵兵が三人に増えていた。
    「ぉお、でもさっき余裕で二人倒しとったし、今回も苦戦はせんやろ」
    『ニャフちゃ~ん、アターック!』
     即☆殺。マーシャの一撃で敵が死ぬ。
    「今更やけど、マーシャ強過ぎんかこれ? 雑魚敵やとは思うけど、さっきから一撃で倒してっとるで」
    『死ねェェェェッッ!!』
     臥堂の攻撃は全く当たらなかった。
    「臥堂はへぼ過ぎやろ!! 戦闘始めてから一撃も当てれてへんぞ自分! ごり押しする割に弱過ぎやろ!!」思わずツッコミが唸りを上げる刃蒼。
     敵兵の攻撃が全て臥堂に吸い込まれていくが、ダメージは0か1だった。
    「……いや、回避っちゅうか防御が凄い事はよー解るんやけどな? 自分、殺していいかって啖呵切った割には、誰一人として殺せてへんぞ? ええの? それでええの自分?」
     臥堂が恥ずかしそうに眼を逸らした気がした。
    「っと、次は夜戦か。んー、マーシャおるから大丈夫やろ。臥堂は攻撃当てもせんし当たりもせんし。判定勝ちになるんやなかろうか」
    『みーつけたっ!』
     マーシャの先制狙撃で一人の敵兵が倒れた。
     あと一人。
    「臥堂やったれ! 本気の臥堂を見せたるんや!」
    『はッ、見えてるんだよッ!』
     臥堂の攻撃は当たらなかった。
    「見えとるんやなかったんかい!! フラグか!! フラグやったんか!! 残念過ぎるやろ自分!! 美味しいけども!!」
     画面が閉じ、戦果リザルトが上がった。
    『評価A』
    「おー、Aでも一応クリア扱いなんやな。なるほどなるほど」
    『新しい傭兵を見つけました』
    「マジか! 今度こそマトモな子来て! 割とガチで!」
    『臥堂だ。取り敢えず殺していいか?』
    「もうええて。それはもうええて。このネタ何回させんねん。寧ろ不具合のレヴェルやろこれ。臥堂にトラウマ覚えるレヴェルやん。コレクションなんやろ? このゲームコレクション要素も売りの一つなんやろ? 何で臥堂しか出んねん! 流石にもういらんわ! 解雇! 解雇したる!」
     臥堂のカードがめっちゃ涙目になってる気がした。
    『タダイマ帰還しマシター! 戦果リザルト確認して下サーイ!』
    「ええーっと、確か【募集】のトコに【解雇】って有ったな……」
     クリックし、【解雇】の画面に辿り着く。
    『臥堂を解雇しますか?』
    「はい」
    『本当に臥堂を解雇してもいいんですか?』
    「はい」
    『もう二度と臥堂と会えなくなるかも知れません。本当に臥堂を解雇しますか?』
    「はい。ってくどい!! 何回訊くねん!! 何人臥堂おる思とんねん!! まだ二人も残っとるわ!! 一人くらいおらんなっても変わらんやろ!!」思わずツッコミの嵐を発生させる刃蒼。
    『臥堂が寂しそうにこちらを見ていますが、本当の本当に臥堂を解雇しますか?』
    「これアレか? 解雇できないキャラなんかこれ? 攻撃へぼ過ぎるキャラが増えるだけ増えて捨てられへんてどないなっとんねん。バランスおかしいやろ!! 何ゲーやねんホンマ!!」
    『臥堂を解雇しました』
    「解雇できるんかい!! なんちゅう面倒臭い工程踏まなアカンの!? これ毎回どのキャラもこんな感じなん!? 無駄に演出がくどい!! 一発で解雇させたれや!!」
     不平不満が爆発しつつも、【編成】の画面でもう一人の臥堂をどうしようか考えようとした刃蒼だったが、何故か画面には合計で三人の臥堂がいた。
    「……!?」思わず目を見開く刃蒼。
    『臥堂サンが寂しそうにしてマシタヨ~? 思わず連れて来ちゃいマシタ~♪』
    「自分かァァァァ!! 自分の仕業かァァァァッッ!! 何やらかしとんねん!! 今何人臥堂おる思とんの!? それいらん子!! 捨ててき!! 怒らへんからはよ捨ててき!!」
     臥堂がプルプル震えながら涙目になっている気がした。
    「はぁー……枠圧迫しとるけど、マーシャがおる限り捨てられへんのならしゃあない、このままにしとこか。いい加減違うキャラドロップしたいねんけどなぁ……」
    【補給】を済まし、次は1-3へと繰り出す刃蒼。
     敵兵の数が五人になっていた。
    「うお、一気に増えたな。でもこっちも四人おるしな! 臥堂が三人やけど!!」
     マーシャが確殺し、臥堂は誰一人として攻撃を当てられず、結局初戦は一人しか倒せなかった。が、味方は無傷のまま夜戦に。夜戦も同様の結果を出し、判定勝ちと言うルートだった。
    「なんかなぁ……マーシャ一人おればいいような気がするパーティ構成なんやけどこれ……臥堂全く活躍しとらんやんけ。おるだけ無駄やろ。三人揃っても変わらへんし」
    『新しい傭兵を見つけました』
    「今度こそ臥堂じゃありませんように今度こそ臥堂じゃありませんように今度こそ臥堂じゃありませんように!!」
    『ヴェルドです。作戦遂行のために犠牲は厭いません』
    「キターッ! キタで遂に! 自分を待っとったんよ! これで戦力が大幅アップや! 【編成】【編成】……」
     ヴェルドを部隊に入隊させる。
    『最良の結果を出してみせます』
    「マーシャと臥堂と比べるのがそもそもおかしいんやろうけど、めっちゃマトモに感じるわヴェルド。寧ろ頼り甲斐が有りそう。うし、このまま1-4も突破やろ!」
     1-4にはマーシャ隊長、臥堂、ヴェルドのパーティ構成で挑む事にした。
     敵兵は六人。更にその中の一人が見た目が違うキャラになっている。マーシャが【忍】であるように、敵兵は今まで【狙】や【突】と言うキャラが殆どだったのだが、一人だけ【審】となっていて、のっぺらぼうの仮面を被っていた。
    「お、如何にもボスらしい奴が出てきよったな。ステージ1の最後っちゅう事なんかな? ヴェルドがどれくらい善戦してくれるかによるけど、行ったれ行ったれ!」
    『――ジャックポット』
     ヴェルドの狙撃で【審】が即死した。
    「強過ぎやろヴェルド!! 多分ボスやと思う奴が即死したで!? え、そんなもんなん!? これ味方と敵のバランスおかしない!? 臥堂は弱過ぎるし、ヴェルドとマーシャは強過ぎるし、敵は軒並み即死やし!! 戦闘バランス滅茶苦茶やないかい!!」
     思わず怒涛のツッコミをしてしまう刃蒼。
    『死ねェェェェッッ!!』
     やっぱり臥堂の攻撃は当たらなかった。
    『ニャフちゃ~ん、アターック!』
     マーシャの狙撃で敵の一人が即死する。
     そして誰も被弾しないまま夜戦に。
    「……おもんなー、おもろなさ過ぎるゲームやでこれ……何を楽しむゲームなんやこれ……被弾が全く無いだけで、こんなバランスおかしなるんか……まるで最強主人公で無双しとる気分やけど、別に自分で操作しとる訳や無いし……コレクション要素も臥堂ばっかりでバランスおかしいし……」
     夜戦が終わり、判定勝ちAの評価を賜るも、全然嬉しくなかった。
    『新しい傭兵を見つけました』
    「何やろ。もう臥堂はいらへんで。臥堂だけはもう堪忍やで」
    『榊と申します。苦から脱しましたか?』
    「キタ! 何かレアそうなキャラキタ! って、【忍】の次は【仏】ってこれどんな傭兵やねん!! 坊さんが傭兵ってどないなっとんねん!! ツッコミどころしかあらへんぞ!!」
     言いながらも【編成】で部隊に榊を入隊させる刃蒼。
    『南無阿弥陀仏』
    「濃過ぎるやろこの部隊……何の傭兵を擬人化したら坊さんになんねん……いやそのツッコミはもうええか。――っと、【補給】忘れん内にしとかな」
    【補給】の画面に辿り着き、【給金】を支払おうとして気付いた。
    「うお、ヴェルドめっちゃ金喰うんやなー。足らへん。これ稼ぐ時どないすんねんな? やっぱり【出撃】でクリアするしかないんかな?」
     ぐーぐれ先生に尋ねてみる刃蒼。
    「……なるほど、【給金】は時間経過で回復するんか。じゃあ今回はこの辺で止めとこかー。うーん、なんやこの時間を浪費した気分」
     そのまま【戦これ】の画面を閉じないまま、別のタブを開いて違う作業を始める刃蒼。司令部の中の音楽は中々聞き心地が良かったので、BGM代わりである。
    『ボクもアニメ観たいデスー!』
     突然マーシャの声が聞こえ、ビクッと体を震わせる刃蒼。
    「な、何で自分、僕がアニメ観る事分かったんや……!?」
     ビックリしながら画面を【戦これ】に戻すと、変わらぬ姿のマーシャがこちらを見つめてニコニコしていた。
    「怖い! 怖いわ、この子! やっぱりブラウザ閉じとこ……」
     ブラウザを閉じ、溜息を吐く。訳の解らないゲームだったが、もう一度触りたいかどうかと問われたら、疑念が浮かぶ内容だった。
     その時だ。部屋の扉をコンコンとノックする音が聞こえた。
    「はーい?」
     立ち上がり、扉に向かおうとして、向こうから扉が開いた。
     扉の向こう側に立っているのは、鮎川と月だった。
    「あれ、鮎川さん? 月さんも。どないしてん?」
    「お早う、刃蒼君。さっ、“ゲームの時間だよ?”」

    ◇◆◇◆◇

    「…………は?」
     気が付いた時には、部屋に朝日が射し込んでいた。テーブルに突っ伏したまま、その眼前には開いたままの携帯端末が和やかなBGMを流して点けっ放しになっていた。
     モソモソと体を動かし、ビシバシに固まっている体の凝りを解していく。
    「あー……寝落ちしてたんか。何しとったんやったっけ……」
     寝惚け眼で液晶画面に視線を転じると、可愛い美少女が兵器を担いで、どこかの部屋で佇んでいる画像が映るばかりだった。
    「……【戦これ】……? うん、【戦これ】やな。でも何か僕の想像と違うような……」
     液晶画面の右下に表示された日付を確認して、刃蒼は伸びをした。
    「まさか夢で観るとはなー。元気にしとるかな、ヴェルドさん、マーシャさん、臥堂君、鮎川さん、月さん、あと榊さんもか」
     呟くと、刃蒼は懐古的な気分を味わいながら、窓に掛かったカーテンを開けた。
     廃墟と化した街並みを見下ろし、刃蒼は感慨深そうに、溜息を零す。
    「……また、逢えるんかな」
     そうして、過ぎ去りし日々の事を思い出す。――そうだ、あの日マスターシックスから電話が掛かってきて、“ゲームは始まった”のだ。
     回想しながら、刃蒼は準備を済ませ、テーブルに飾っていたデジタルの写真立てを鞄に詰め込もうとして、大切なモノを扱うように、その表面を撫でた。
     集合写真。そこにはいつかのゲーム参加者が集まり、別れを告げる直前の姿が映り込んでいた。
     思い出す。アレは――そう、ちょっとだけ昔の出来事だ。世界を巻き込んだ、碌でもないゲームのその内容は――――
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    2017-01-13 05:40 
    日逆孝介 No.533
    > 更新お疲れ様ですvv
    >
    > 本編ももちろん面白かったんだけど、それ以上に
    > ひっじょーにきになる終わり方。
    > もー気になって仕方ないのでとりあえず更新お願いしますvv
    >
    > まじで更新楽しみにしてまーすvv

    感想有り難う御座いますー!
    意味深な終わり方でしたが、本編とどう絡んで来るのか楽しみにお待ち頂けたらと思います!
    更新頑張りますぞ~!┗(^ω^)┛

    ぜひぜひ次回もお楽しみに~!
    2017-01-12 23:25 
    tomi No.530
    更新お疲れ様ですvv

    本編ももちろん面白かったんだけど、それ以上に
    ひっじょーにきになる終わり方。
    もー気になって仕方ないのでとりあえず更新お願いしますvv

    まじで更新楽しみにしてまーすvv
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