鎖錠の楼閣

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    【神戯】028:遊始に到る〈其ノ伍〉【オリジナル小説】

    ■タイトル
    神戯

    ■あらすじ
    「最後の遊戯を始めよう」――世界を滅却した絶対神、〈禍神〉である四人の少年少女が始めたのは、最後の一人になるまで殺し合う遊戯――【神戯】。《神災》に因って世界人口が百分の一にまで衰退した百年後の世界を舞台に紡がれる悪夢の遊戯録。その全容が今、紐解かれる――

    ▼この作品は【鎖錠の楼閣】、【小説家になろう】(http://ncode.syosetu.com/n0899k/)、【ハーメルン】(https://novel.syosetu.org/94282/)、【風雅の戯賊領】(http://huuganogizoku.web.fc2.com/)、【カクヨム】(https://kakuyomu.jp/works/1177354054881697929)の五ヶ所で多重投稿されております。

    ■キーワード
    R15 残酷な描写あり オリジナル戦記 異能力バトル 冒険 群像劇 狂気 殺し合い/デスゲーム 架空戦記 戦争 外道 超能力 異世界 ダーク 遊戯 バトル エンターテイメント

    ■第28話

    028:遊始に到る〈其ノ伍〉


     二人の侵入者が【大聖堂】を去る前――それは夕刻にまで時間が遡る。
     辺りが夕焼けに染まる頃、二人の〈神災対策局〉局員が、〈神災対策局〉【真央都】支部を訪れた。
    〈神災対策局〉は常に慌しい職場で有名だ。丁度二人が訪れた時も、中は騒々しさで溢れていた。
     一階には大きな広間が拡がり、そこに幾つものデスクと、その上に据え置きの電話が置かれている。局員はその電話から発せられる苦情と陳情に追われている。どこの支部に行ってもこの状況は変わらない。近隣住民は常に不平不満を抱え、それを発散する場を求めているからだ。
     故に、二人が現れてすぐには、誰が訪れたのか誰も気づかなかった。――否、二名ほど、刹那に気づく者がいたが。
    「――〈牙〉様!? どどどどうしらればばば!?」
     一人の局員が立ち上がると、舌を噛み千切らんばかりにおかしな言葉の羅列を吐き出し、転ぶようにして二人の来訪者――〈牙〉と是烈の前へと躍り出る。
    「やぁ、箕萩(ミノハギ)。相変わらず落ち着きが無いな君は」
     眼前に転がり出て来た局員に向かって片手を挙げて軽く応じる〈牙〉。
     現れた局員はまだ若い少女と呼べる年代の娘だった。百五十ほどしかない小柄な体躯に、ころころした体型をしていて、倒すと良く転がりそうなイメージが湧く。言ったら確実に怒るが。茶髪を肩に掛かる位に伸ばしていて、黒瞳は円ら、僅かに化粧を施して、歳相応の愛らしさを内包した顔立ちをしている。橙のキャミソールにデニムのミニスカートと言う、局員にしてはやたらと身形に気を遣った姿をしているが、職場に何しに来てるんだこいつは、と是烈は毎度の事ながら思う。
     彼女は箕萩と言う、十代半ばの〈神災対策局〉の局員である。この年齢で新入りと言う訳ではなく、もっと幼い頃から勤めている娘で、是烈の後輩でありながら、この支部では顔の知れた人物である。
    「きゃーんっ、〈牙〉様に落ち着きが無いって言われちゃったよう、どうしよどうしよーっ!」
     ……自称、〈牙〉様親衛隊隊長と称するだけあって、その思い入れは半端ではない。通称、“〈牙〉馬鹿”を略して、“キバカ”とも呼ばれている程の、〈牙〉の熱烈なファンなのである。
     そこに、
     つかつかと素早い動きで、目の色を変えて動揺している同僚の頭頂を、稲妻の如き拳骨で制止する者が現れた。
     ぼかっ、と鈍いようで軽いような音が箕萩の頭から響いてくる。
    「のぉぉう……何するのさミネちぃ……っ?」
    「今止めねば、局長が困り果てる事請け合いだからだ馬鹿者。――失礼。局長殿、久方振りだが元気そうで何よりだ。噂も予々聞いているぞ」
    「錆峰(サビミネ)も元気そうで何よりだ。あと、箕萩の頭を叩く癖は治ってないんだな?」
    「仕方あるまい。箕萩はこうでもしなければ延々と自分の世界に埋没してしまうからな。局長殿も見ているだけでなく止めて下さらねば」
     嘆息混じりに応じる職員もまた、十代半ばの娘だった。
     百七十近い長身に加え、スリムな体型をしている。黒髪は短く切り揃え、錆色の瞳は切れ長と、相貌はやや怜悧なものを連想させる。紺のスーツ姿だが、夏だけに生地の薄いクールビズ仕様だ。洒落っ気は皆無だが、敏腕職員の感じがヒシヒシと感じられるので、箕萩とは全てに於いて対照的と言える。
     名を錆峰と言い、箕萩と同じく〈神災対策局〉の局員であり、箕萩と同様に是烈の後輩でありながら、局員としての経歴が長い稀有な娘である。
    〈牙〉相手に対等な口こそ利いているが、彼女はあくまで平の局員である。本来なら許される筈の無い口の利き方だが、〈牙〉が容認していて、且つ彼女の腕が生半でない事が反駁できない状況を自然と作り出しているのだ。
    「いや、君らの漫才は見ていて面白いしな。【真央都】に来たって感じがして」
     特徴的な二人の少女に対しても、〈牙〉の態度が変容する事は無い。隣に付き添い続けた是烈だから判る。彼はどんな相手に対しても不変の態度を保つ事が出来る、心底より平静な精神を持つ人間――否、〈禍神〉なのだ。
     そんな〈牙〉の世辞のような言葉に露骨に反応するのは箕萩以外に有り得なかった。
    「いやぁん、〈牙〉様にまた褒められちゃったよう~♪ えへへぇ、もっと褒めて褒めて~♪」
     完全に気を許してしまった犬のように、顔をこれでもかと綻ばす箕萩の頭頂に、再び錆峰の鋭い拳が突き刺さる。
     ぼかっ、「のぉぉう……そんなバカスカ叩かないでよぅ、お馬鹿ちゃんになるじゃないのさぁっ!」両手で頭を摩り、涙目で訴える箕萩。
    「褒められておらぬわ馬鹿者。あと貴様はこれ以上叩かずとも既に馬鹿者だ。気に病む事は無いぞ」腕を組んで勝手に納得した様子の錆峰。
    「えーっ? あたしお馬鹿ちゃんじゃないもん! ですよねー、〈牙〉様っ?」
    「ははは、そうかもな」
    「ほぅらっ、〈牙〉様もああ言ってるじゃん!」
    「局長殿、あまり箕萩を甘やかされては困る。彼女の将来が掛かっているのだからな」
    「いいもーん、あたし〈牙〉様に貰って貰うんだーっ! えへへー、〈牙〉様〈牙〉様っ、いつかあたしをお嫁さんにして貰って下さいね~っ♪」
    「――ところで二人とも。この辺にある美味い麺屋を知らないか?」
     はぐらかすの巧いなー、と是烈は誰にも聞こえない声量で呟く。
     質問を受けた箕萩は飛び跳ねながら「えっと、えっとっ」と足りない頭をフルに回転し始めるが、隣で顎に指を当てて数瞬黙り込んだ錆峰が「――正門通りに『麺亭』って店が在るが、あそこの味噌ラーメンは美味と評判だ。わたしも食べた事が有るが、中々に美味だったな」と細い両眼を更に眇めて進言したので、箕萩が「あーっ、それあたしが先に言おうと思ってたのに~っ」と地団駄を踏む事態になってしまう。
    「『麺亭』か。ありがとう、今度食べに行ってみよう。営業時間は分かるか?」
    「えっとっ、えっとっ」「早朝五時から八時まで、昼間の十一時から二時まで。夜間は六時から十二時までだった筈。民の食事時を狙っての事だろうが、何とも忙しない営業時間だと常々感じている」「あーっ、あたしが先に言おうとしたのにーっ!」
    「……〈牙〉さんがラーメン食べるトコなんて見た事無いんすけど……いつ食べに行くんすか?」
     二人の漫才染みた話を聞き流しながら、是烈が〈牙〉へと水を向ける。彼が食物の話題を切り出した事に僅かな驚きを感じての質疑だったが、〈牙〉はそんな事など意にも介さず、飄々と応じてみせる。
    「腹が減ったら食べに行くさ。……さて、二人に訊きたいんだが、局員専用の仮眠室はどこだったかな? 案内してくれると助かるんだが」
    「はーいはーいっ、あたしがっ、あたしが案内するーっ!」両手を振り回して飛び跳ねる箕萩。
    「箕萩だけでは不安過ぎる。わたしも同行しよう」
    「えーっ? ミネちぃ、あたし一人でも案内できるよう!」
    「――構わないだろう? 局長殿」
    「ああ、俺は構わないよ。とにかく今は早く眠りたい」
    「あっ、じゃあこちらになりまーすっ! ……えーっと、ミネちぃ、仮眠室ってどこだっけ?」
     ……終始こんな感じで、二人の漫才を聞かされる羽目になる〈牙〉と是烈なのだった。


    「――〈牙〉さん」
    「ん?」
    〈神災対策局〉の局員専用仮眠室に無事辿り着いた二人は、〈牙〉の意向により、まだ陽も落ちていない時刻でありながら、ベッドの上に寝転がっていた。
     気疲れこそ感じている是烈だったが、それだけで眠気を誘われる程の疲労を覚える訳ではない。現にベッドに寝転がっても睡魔が訪れる様子は皆無だ。是烈がこの程度の疲労なのだから、〈牙〉が眠たいと言うのは虚言に思えてならなかった。
    「夜にどこに行くつもりなんですか?」
     今の内に眠るとはつまり、そういう事なのだろう。是烈は〈牙〉の奇行を、そう勘繰っていた。
    〈牙〉の姿は是烈のいる場所からは窺えない。二段ベッドの上に是烈は寝転がり、その下に〈牙〉がいる状態では、縁から顔を出さない限り、〈牙〉が何をしているかなど、判る筈も無い。
     仮眠室は非常に窮屈な造りだ。小さな一室に二段ベッドを八つ詰め込んであり、その間は非常に狭い。大の大人が行き交うには無理が在るが、寝台が大きい訳ではない。寝台には上部にカーテンが据えつけられており、仮眠を取る際にはカーテンを引く事が半ば義務付けられている。夏場は枕と気休め程度のタオルケットしか配備されていない。窓は在るが、厚手のカーテンで閉め切られ、室内は電灯も点けられず薄暗い。
     ぼんやりと映る天井の梁を眺めながら、是烈は言葉を連ねる。
    「……一人で、行くつもりなんですか?」
    “それでは自分が付いて来た意味が無いじゃないですか”――という意味を言葉の裏に載せて、是烈は呟いた。
     自分は〈神騎士〉だ。〈牙〉を護るために付き添わねば、成った甲斐が無いと言うものだ。彼のためなら他を犠牲にする事も厭わないと決意を固めた是烈にしてみれば、ここで除者にされるのは心外であり、侮辱でもある。それで〈牙〉を喪う事は無いにしろ、彼を危険に晒すのは、〈牙〉の〈神騎士〉である以前に、〈神災対策局〉副局長として認める事は出来ない。
     そう決意を固めて、意志を滾らせる是烈の言葉に対し、〈牙〉は、――ふ、と小さな笑声を零す。
    「俺はどこにも行かないさ、是烈。お前は少し気の回し過ぎだ。党首補佐との面談での緊張がまだ尾を引いてるんだろ、今は神経を休ませろ。話はそれからだ」
    「……そうですか」
     同じ問いを繰り返すつもりは無い。問うても同じ答が返ってくるだろう事は自明の理と言う奴だ。それに〈牙〉の言う事にも一理ある。〈救世人党〉党首補佐――白風との面談はそれだけ神経を刮ぐものだった。今の自分があの緊張状態を引き摺っていないと、すぐには断言できなかった。後から湧き出る緊張も有るからだ。
     ふぅ、と小さく吐息を漏らし、眠くも無いのに瞼を下ろす。今は神経を休ませよう。万全の状態で〈禍神〉に、そして〈神騎士〉に挑まなければ。そう思い、徐々に思考も虚ろなものにしていく。

    ◇◆◇◆◇

     麺屋『麺亭』は創業三十年の店だが、規模はあまり大きくない。テーブル席が三つに、カウンター席が七つだけ。営業時間が若干特異である事と、麺の種類が味噌と醤油だけなのにそれが格別に美味い事を除けば、いつ潰れてもおかしくないと思える佇まいをしている。
     木材を組み上げて建てられた店内には、天井に取りつけられた小さなスピーカーから発せられるラジオの音声が緩やかに流れている。客は親子連れが一組と、〈救世人党〉の党員らしき女が二人、そして――ラフな格好をした、長身の少年が一人。
     長身の少年は味噌ラーメンの湯気で眼鏡を曇らせながら麺を啜り続けていた。時折、傍らに置いてあるコップの冷水を飲んで小休憩を挟んで食べ続けている。
     店内には、ラーメンを啜る音と、ラジオの奏でる旋律だけが響いている。
     ――そこに、入口である木戸が開き、客の来訪を告げる音が店内に響いた。
     客――糸目の小柄な少年は、長身で眼鏡の少年の隣に腰掛け、「味噌ラーメン一つ」とカウンターのすぐ前に在る厨房へと声を掛ける。一人で切り盛りしている中年の女性が「あいよ」と笑顔で振り返って応じる。
     糸目の小柄な少年はカウンター席から立ち上がると、冷水の入った給湯器の許へと進み、コップに注ぐと席に戻った。隣に座る長身の少年は、構わずラーメンを啜り続けている。
    「良かった、場所は間違ってなかったみたいだ。――久し振り、りっちゃん。調子はどう?」
     長身で眼鏡の少年が、拉麺を啜る仕草のまま、小声を発する。親子連れや党員の二人組には届かない声量で呟かれたその声は、紛れも無く隣に座る糸目の小柄な少年に投げられた言葉だった。
     糸目の小柄な少年は首を動かさず、長身で眼鏡の少年へと視線さえ向けずに、口を最小限に動かし、声も限り無く絞って、応じる。
    「書簡に綴った通りに来てくれて嬉しいっす。――百年振りっすね、サラ。ま、ぼちぼちってトコっすね。そっちは?」
    「俺にしか解らない暗号を使う辺り、流石だよ。――疲れたよ、色々とね。百年もブランクが有ると、奴らに敵う気がしないな。――奴は本当に?」
     ラーメンを啜る手を止め、冷水に手を伸ばす長身で眼鏡の少年。糸目の小柄な少年は退屈そうな仕草をして、厨房へと視線を投じ続けている。
    「俺がサラに嘘を吐いた事、有りやしたっけ?」
    「それもそうだな。黙ってる事は多々有ったけれど」
    「くくっ、それもそうっすね」
    「エンタさんはどうしてるか知ってる?」
     長身で眼鏡の少年が、ラーメンの汁をレンゲで掬い、ずずっ、と啜る。
    「奴は【燕帝國】にいやすよ。サラ同様、招待状を送りやした。正確には判りやせんが、【燕皇城】の深部にいる事は判っていやす。即ち――」
    「――もっちゃんの【燕帝國】版って事だな。どう考えてもやり過ぎだろ、国とか。……まさか、りっちゃんもじゃないよな?」
     糸目の小柄な少年は欠伸を浮かべ、目許に涙を滲ませる。
    「まだ乗り気じゃ有りやせんからね。今はまだ、とだけ言っておきやしょうか」
    「それだけ凝られるとやる気が削がれるって事が分かってないんだな、奴らは」
     長身で眼鏡の少年が餃子へと箸を伸ばし、タレを付けて頬張る。
    「とは言え、サラも組織の長じゃありやせんか。“【竜王国】の英雄”とまで〈竜王〉に言わしめるんすから、相当なもんすよ」
    「単なる暇潰しを兼ねての整地作業さ。それに――魔王を倒すのはどこの世界だって勇者だったろ?」
     糸目の小柄な少年が立ち上がり、雑誌を手に再び席に戻って来る。
    「勇者が必ずしも正義の味方とは限りやせんぜ、サラ」
    「正義なんて気取る気は無いさ。俺は単に、奴を殺すだけ。……君もそうなんだろ? ――りっちゃん」
     二人の間に沈黙が下りる。長身で眼鏡の少年はスープを飲みきり、立ち上がる。
    「おばさん、勘定」
    「あいよ、味噌ラーメンに餃子で、九百円だ」
     長身で眼鏡の少年は財布を取り出し、紙幣を一枚取り出すと、カウンターに置いた。
     そこに店長である女性がやってきて、糸目の小柄な少年に、「お待ちどう、味噌ラーメンだよ」と言って、麺とスープが並々と入った椀を置く。長身で眼鏡の少年が置いた紙幣を取り上げ、奥へと戻り、やがて硬貨を一枚持ってきて、「お釣りの百円だよ、毎度!」と言って、長身で眼鏡の少年へと渡す。
     長身で眼鏡の少年は店を出る前に、糸目の小柄な少年にしか聞こえぬ声を上げる。
    「今度逢う時は敵――だよな?」
    「望めば共闘は惜しまない。――とだけ言っておきやす」
     入口の戸に掛けた手が止まり、長身で眼鏡の少年の口許に笑みが滲む。
    「ふ……その時は宜しく、だな」
     戸が閉められ、不変の静けさが漂う店内で一人、糸目で小柄な少年の口許にも笑みが宿った。
    「こちらこそ、っすよ」

    ◇◆◇◆◇

     ――是烈が眠っている事に気づいたのは、物音が聞こえたからだった。
     慌てて跳び起きると、下に眠っている筈の〈牙〉を確認する。ベッドは蛻の殻――ではなく、〈牙〉が横になったままだった。こちらを見上げる形で、「どうした?」と自然な様子で声を掛けてくる。
    「あ、いや、その……てっきり、」
    「勝手にどこかに行ったとでも思ったのか?」
    「…………」
     肯定の意を持つ沈黙を返す是烈。〈牙〉は短い笑声を漏らす。
    「俺はお前が生きてる限り死なないんだ。心配すべきはお前の命。――だろ?」
    「それは……そうですけど」口ごもる是烈。「でも、〈牙〉さんに何か遭ったら俺は……」
    「二人で帰るって、朔雷と約束しただろ。俺が一度でも約束を違えた事が有ったか?」
    「……寝坊して仕事が大幅に遅れた事なら両手で数え切れない程有りますけど?」
     じとーっと見つめる是烈。〈牙〉は「はっはっは、そんな事も有ったかな」と惚けて、取り合う気は無さそうだった。是烈は苦笑を漏らし、少し安堵する。
    「……あれ、でも〈牙〉さん。何かニンニク臭くありませんか?」
    「気のせいだ」
    「え? いやでも、ニンニクのような匂いが……」
    「気のせいだ」
    「…………」
    「気のせいだ」
     絶対に気のせいじゃない、と思う是烈だった。
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