鎖錠の楼閣

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    【神戯】026:遊始に到る〈其ノ参〉【オリジナル小説】

    ■タイトル
    神戯

    ■あらすじ
    「最後の遊戯を始めよう」――世界を滅却した絶対神、〈禍神〉である四人の少年少女が始めたのは、最後の一人になるまで殺し合う遊戯――【神戯】。《神災》に因って世界人口が百分の一にまで衰退した百年後の世界を舞台に紡がれる悪夢の遊戯録。その全容が今、紐解かれる――

    ▼この作品は【鎖錠の楼閣】、【小説家になろう】(http://ncode.syosetu.com/n0899k/)、【ハーメルン】(https://novel.syosetu.org/94282/)、【風雅の戯賊領】(http://huuganogizoku.web.fc2.com/)、【カクヨム】(https://kakuyomu.jp/works/1177354054881697929)の五ヶ所で多重投稿されております。

    ■キーワード
    R15 残酷な描写あり オリジナル戦記 異能力バトル 冒険 群像劇 狂気 殺し合い/デスゲーム 架空戦記 戦争 外道 超能力 異世界 ダーク 遊戯 バトル エンターテイメント

    ■第26話

    026:遊始に到る〈其ノ参〉


    【中央人民救済枢軸国】首都【真央都(シンオウト)】――
     新人大陸中央に位置し、三大国の中でも一番の人口を誇る【中央人民救済枢軸国】――通称【中立国】の首都【真央都】は、都市の中で最も活気に満ち溢れている。
     西の【燕帝國】、東の【竜王国】からの移民が数多く住まう、国にまで成り上がった宗教国家。その中心には、宗教国家ならではの建物が鎮座する。
     荘厳なる巨大な建造物。一見してそれは城ではない事が分かる。白と青を基調とした地上三十階にもなる建物の名は――【大聖堂】。規模だけなら【竜王国】最大の建造物である【竜王城】に匹敵する程の建物だ。
     その前門から南方に続く通りを“正門通り”、北方へと続く通りを“裏門通り”と呼ぶ。中核を担うのはやはり【大聖堂】だろう。【中立国】のシンボルとでも称すべき建物は、【真央都】にいる限り、ほぼどこからでもその巨像が窺える。
    【大聖堂】の外観は、名の通り“聖堂”が基になっているのだが、過去に実在した聖堂の形をそのまま巨大化――それも二倍や三倍ではなく、軽く十倍近く――した、大きさが暴走しただけの、“聖堂”以外の何物とも形容し難い代物である。
    「久し振りに見たけど……やっぱり無駄にでかくないですか? あの建物」
     季節が夏であるため、学徒達が夏休みに入った事が起因して、都は若人でごった返していた。まるで芋を洗っているかのような人込みに咽返るような暑さが加わり、是烈は辟易した様子で眼前に聳える建物の感想を漏らす。
    【竜王国】を出国したのは昨晩。大陸横断列車に乗れば、隣国である【中立国】に来るのに一日も掛からない。とは言え、到着は翌日――つまり今日の昼過ぎだったので、二人は列車の中で睡眠を取り、軽く朝食を取って、【真央都駅】からこの場所――“正門通り”に繰り出した次第である。
    【竜王国】が北方に位置する地域のためか、大陸中央に位置する【中立国】は温度が比較的高く感じる。人いきれのために湿度も相当だ。胸を悪くしそうな息苦しさに、思わず新鮮な空気を求めたくなる。
     その中で〈牙〉も若干疲弊した様子で、「そうだな」と短く返し、辺りを窺うようにして【大聖堂】の中へと進んで行く。
    「あまり広過ぎるステージだと戦闘になったら探し出すの大変だと思わなかったのか、もっちゃんめ……」
    「何か言いました?」〈牙〉に虚ろな視線を向ける是烈。
    「いや、何でもない。――それよりも是烈。今の内にこの暑さに慣れておけよ」
     巨大な建造物へと歩を進めていると、まるで建物に喰われて行くような錯覚さえ生じる。最早全体像を視界に納めるのは諦め、是烈は前を行く〈牙〉とその周辺に視線を巡らすに留めていた。
    【大聖堂】の正面に在る巨大な門――高さ十五メートル、幅五十メートルと言う大きさの門の前には、哨兵と思しき男が、錫杖を握り締めて佇んでいる。格好は僧侶だが、体つきは戦士だ。有事の際には彼らが身を挺して解決してくれるのだろう、と是烈は推測する。数は見える限りで十人近く確認できる。
    【大聖堂】と門の間に拡がる広場、二人がいる空間もまた広大な敷地を有していた。様々な露店が開かれ、場所に因っては催し物もあるらしい。遠くから歓声が響いてくるのは恐らく客が上げたものだろう。現在は〈神災慰霊祭〉の準備も重なってか、人の往来が極端に多い。
     多種多様な人間が絶えず行き来している空間。どこを見ても人、人、人。国に納まりきらないのではないかと言う量の人間が広場を占めていた。
     遥か上空から下界を見下ろす天道を見上げて、是烈は溜息混じりに声を出した。
    「この暑さに慣れるって言っても、一週間も滞在せずに【臥辰】に戻るんすよね? 慣れる前に帰るみたいなもんじゃないですか……」
    「この暑さに慣れておかないと戦い難くなるぞ」
    「……ここで殺し合いをするんすか? ――この群衆の中で!?」
     思わず声を張り上げてしまうが、是烈を不審がる者は無かった。皆銘々に話し合ったり笑い合ったりと、自分達の世界を満喫している。
    〈牙〉は是烈の大声に驚くでもなく、静かに頷いて“肯”と応じる。
    「そんな……こんな無関係の人達を巻き込んで殺し合うなんて、何を考えてんすか!?」
    「俺は望んでないが、無関係の人間を大量に殺したがっている姫が一人いるんでな。そいつに掛かれば、この平和の象徴の広場は刹那に地獄と化す。昼間だろうと夜間だろうとお構いなしだ。……是烈、俺達の敵は、そんな奴なんだよ」
     静かに、だが厳かな語調で紡がれる話に、是烈は愕然とした。
     それじゃ殺人鬼――それも快楽殺人者と何も変わらない、と是烈は強く感じた。
     それに対して、〈牙〉も苦々しく頷いて応じずにはいられなかった。
    「殯は多分その答を否定しない。喜んで受け入れるだろうさ。何せ奴は世界でさえも躊躇無く滅亡させる事が出来る女だからな」
     呟く〈牙〉の声はどこか郷愁の混ざった、蒸された空気に溶けてしまいそうな淡いものだった。


    「――大変お待たせ致しました。私が〈救世人党〉党首補佐、白風で御座います」
     ――【大聖堂】五階、【待合の間】。
     大きなソファが四つ設けられた、応接室にしては広めに取られた間取りの部屋。窓からは夏の陽光が燦々と照りつけていたが、薄手のカーテンが掛けられ、僅かながら室内を暗くしている。室内に電灯は設けられていたが、スイッチは現在切られている。クーラーが天井近くで作動しているため、室内は快適な気温に保たれていた。
     部屋の中央に据えられた足の低いテーブルの上に置いてあった、麦茶の入ったガラス製のコップの氷が涼しげな音を立てて揺れたその時、部屋の扉を開けて一人の女性が姿を現した。
     歳は三十代だろうか。その割には肌や髪に瑞々しさが有り、年齢以下の若さを窺わせる。白髪は後ろで先端のみを纏めている。祭服と呼ばれる、〈救世人党〉の党員が着込む少し変わった服に身を包んだ女性――白風は、二人の客人である〈牙〉と是烈の対面のソファに腰掛ける。
    「お初にお目に掛かります。僕は――」
    「――〈牙〉様、で御座いますね? お名前は予てより窺っております。先日の件での傷はもう癒えましたか?」
    「ええ、見ての通りです。こちらは僕の助手を務める、」
    「〈神災対策局〉副局長、是烈と申します。此の度は突然の訪問となってしまい、誠に恐縮です……」
     頭を下げる是烈。こういう席での言葉がよく分からないため、自分の言葉遣いに自信が無かった。
     白風はその応対に小さく微笑を浮かべるだけで、返答は寄越さなかった。
    「――何の御用でしょうか? 〈神災対策局〉局長御自らお出でとは……何事でしょう?」
     物腰は穏やかだが、白髪の女の朱の瞳には疑念の色が滲んでいる。言外に戸惑いを覚えているのは、是烈にも分かる機微だ。
    〈牙〉は仮面の下端に指を触れ、顎を撫でるように摩ると、容易く本題を言ってのけた。
    「とある筋より頂いた情報なのですが……この【大聖堂】のどこかに、〈禍神〉を匿っていると――そう、聞かされましてね。その真偽を問いに参った次第です」
     まるで薄氷の上にいるかのような居心地だった。是烈は心臓が早鐘を打つのを抑えきれず、精神的な息苦しさを覚えた。
     白風は表情に何も映す事は無かった。ただ静かに、凪いだ水面のような顔で、〈牙〉の仮面を見つめ続ける。
     時間が止まったかのような、緩やかで、だが凍てつくような空気が漂う。是烈は背筋にじんわりと冷たい汗が滲むのを感じた。
     ――からん、と麦茶の海に浮かんだ氷塊が音を立てて揺れる。
    「その話は、一体どこでお聞きになられたのでしょうか?」
     白風の、困ったような微笑。仮面なのか、素面なのか、是烈には判断が付かなかった。
     ただ――空気が強張っている。白風が纏っている、のではなく、この空間そのものが、凝り始めたような気がした。
    「それはお教え出来ません。個人情報に係わる問題なので」
    〈牙〉は実に飄然と応じる。凝った空気に気づいているのかいないのか定かではないが、その空気すら気にする余地は無いとでも言いたげに、話を続けていく。
    「火の無い場所に煙は立ちません。事と次第に因ってはこの問題、酷い醜態を露呈する事態になるのでは、と僕は危惧しています」
    「と言うと、貴方は今のお話を信じている、――と?」
    「信じる如何は貴方の返答次第です、党首補佐殿。僕はその是非を問いに来たのですから」
     静かな言葉の応酬。両者共に一歩も譲らず、機先を制し合っている。
     まるで戦いだ。是烈の得意な武具を使っての戦いではなく、言葉という平和的な得物を使った、――戦。
     二人は沈黙を間に置いて、互いを見据え合う。表情の機微を見せまいとする一方、相手の些細なミスを見逃すまいと瞳を眇め、ただひたすら相手の動向を窺う。
    「……そのような事実は一切御座いません。そのような話が出て来た事自体、非常に遺憾に思っております。並びに、そのような事でここまで足をお運びになられたお二方には、全党員に対する侮辱と感じております」
     表情は変わらない。絶えず微笑を浮かべたままだ。なのに――温度差が違い過ぎる。先程までの微笑が絶対零度ならば、今の微笑は氷点下だ。クーラーが利き過ぎているような悪寒が是烈の肌を撫でていく。
    「では、この話は虚偽だと? そう仰る訳ですね?」
    「他に申し様が有りません。そのような妄言を申す者がいる事は、一党員として心苦しい事この上ないと感じております」
     虚言を吐いているとは、思えなかった。白風は心底から残念そうに目を伏せ、遺憾そうに熱い嘆息を零している。とても演技には見えなかった。
     対する〈牙〉が白風の態度を見てどう思ったのか定かではないが、質疑を止めようとはしなかった。続け様に言葉を連ねる。
    「分かりました、では次の質問をさせて下さい。――殯と言う少女をご存知有りませんか?」
     白風の反応は薄い。何を言われたのか分からない、と言った所作で〈牙〉に尋ね返す。
    「どのような方でしょう? 党員の中にそのような方がいると言う話は聞いておりませんが……名簿で確認致しましょうか?」
    「――貴女は、ご存知無いのですね?」
     再び沈黙が場を制する。
    (何を言ってるんだ……?〈牙〉さん、それはどういう……?)
     是烈が困惑を隠しきれずに戸惑っていると、白風も似たような態度で〈牙〉を見つめてきた。
    「それは、一体どういう意味で仰られているのでしょう? よく分からないのですが……」
    「いえ、ご存知無ければ、良いのです。――失敬、無礼が過ぎました。今までの非礼を御詫びします」
     立ち上がり、腰を九十度に曲げての深い礼をする〈牙〉。突然の行動に一瞬驚いたものの、是烈も慌てて〈牙〉に倣い、立ち上がって腰を曲げる。白風は更に困惑しているようだった。
    「頭をお上げになって下さい、私こそ質問の意図が理解できず、申し訳無いと思っております。どうか、お気になさらないで下さい」
     気遣わしげに声を掛けてくる白風の言葉に、〈牙〉は顔を上げてもう一度深々と礼をすると、再びソファに腰掛け直す。是烈もそれに続いた。
    「失礼、どうも気になる事が多過ぎて、つい詰問調になってしまったと思ったもので。僕の悪い癖なんです、本当に申し訳無い」
    「いえ、こちらこそ。……それにしても驚きました。まさか〈禍神〉が【大聖堂】にいるなんて、そんな話を耳にするなんて露ほども思っておりませんでしたから……」
     ふふふ、と上品に口許に手を添えて笑む白風。疑心を生むような、おかしな所作は今まで一度も無い。やはり彼女は何も知らない? 隠していない?
     そう思う是烈の隣で、〈牙〉は釣られるように乾いた笑声を零す。
    「ははは……。僕もおかしいとは思ったんです。けれど、〈禍神〉がもしここにいるとすれば、これほど良い場所も無いな、と思い直してまして」
    「――と言うと?」
    「自分の身を隠すには打ってつけの場所だな、と思っただけです。百年もの間、誰にも知られずに姿を隠しておくには、丁度良い広さが在る。……そして、他の〈禍神〉に攻め入れる戦力も内包している」
    「仰っている意味が良く分からないのですが?」
    「お気になさらず。単なる独り言です。――ああ、独り言序でに一つ。もし、殯と言う少女を見掛けたら、言伝をお願い出来ませんか? 『逃げるな』――と」
    「……それだけですか?」
    「ええ、それだけ伝われば充分です。……さて、そろそろお暇させて頂きます。あまり党首補佐殿に時間を取らせては、色々と都合も有りましょうし」
     腰を持ち上げ、〈牙〉は社交辞令的に一礼すると、是烈を促して部屋の外へと進んで行く。
    「――そうだ、今度来る時は神無様の御目通しが叶わないでしょうか? 彼女とは一度、面と向かって話がしてみたいのです……彼女の予定に組み込む事は無理でしょうか?」
     流石にそれは無理だろ、と是烈が思っていると、白風は暫らく沈思した末に、小さく微笑を浮かべて応じた。
    「掛け合ってみましょう。何しろ〈神災対策局〉局長からの申し入れです、党首も無碍には断れないでしょう。――こちらから追って連絡致します。【中立国】にはいつまでご滞在なされるのですか?」
    「〈神災慰霊祭〉までは滞在するつもりです。滞在先は〈神災対策局〉【真央都】支部ですから、そちらへ連絡を回して頂ければ、例え深夜だろうと参上仕ります」
    「承知致しました」
     白風の朗らかな微笑を受けて、二人は【大聖堂】を後にした。


    「……この調子じゃ、殯って〈禍神〉は【大聖堂】にいないんじゃないすか?」
     是烈の胡乱な声が、〈牙〉の仮面の中の耳朶を弱く打つ。
     場所は【真央都】――“正門通り”にある、オープンカフェ。安価な値段でパン類を扱っている店で、飲物は飲み放題だった。
     なのに〈牙〉は何も注文せず、通りを見つめたまま沈黙を守っている。是烈はその様子を横目に見ながら、少し遅めの昼食を取っていた。注文したのはチキンを挟んだパン――所謂ハンバーガーのような物――を口に入れながら、コーラをストローで吸い上げる。
     通りは人で溢れ返っている。夏の日照りがキツいのに、子供達が日に焼けながらも元気にはしゃぎ回る姿は、見ていて心を和ませる。殺伐とした空気が僅かに緩和されるようで、是烈は穏やかな気持ちでチキンバーガーを口に挟む事が出来た。
     足の高いテーブルの中心にあるパラソルに因って陽射しが遮られているものの、猛暑だけはどうしようもない。背中にじっとり汗を掻きながら是烈は再び口を開いた。
    「あの書簡は、やっぱり悪戯だったって可能性が――」
    「――いや、いる。殯は確実にあの中にいる」
     是烈の発言を遮って、〈牙〉が口を挟む。勃然と〈牙〉を見やると、彼が通りを見ている訳ではないと気づいた。通りの先――馬鹿でかい建造物である【大聖堂】を見つめているのだと、ようやく分かった。
     とは言え、自分の発言を潰してまで告げられた内容を即座に頷ける訳ではない。是烈は唇を尖らせて〈牙〉に反駁する。
    「それって、根拠は有るんですか?」
    「欠片も無い」
    「じゃあ?」
    「勘だ。俺の勘が、そう告げてるんだ」
    (勘……ね)
     一笑に付したくもなるが、是烈は鼻で笑うような嘲りは浮かべなかった。
    〈牙〉の勘はよく当たる。それは大なり小なり、確実とは言えないが、大事な時ほど彼の勘は冴え渡る。それは彼の隣で幾つもの任務を熟してきた人間だからこそ言える。
     それ故に〈牙〉の“勘”を侮る事は無い。寧ろそれは、何か予言染みた言葉でさえあるからだ。
     ……とは言うものの、確実な根拠が無い場合はどうしても疑ってしまう。何度もその“勘”で助けられた身の上と言えど、迂闊には信じ込めない事柄でもある。
    「……でも、確かに〈牙〉さんの話を聞いてたら、いそうな気もしてくるんですよね」
    〈牙〉の話はあちこち想像で補われているとは言え、恐らく真実に近い内容なのではと、思わせるのだ。
    〈救世人党〉と言う組織は確かに〈禍神〉を敵対視し、〈禍神〉が見放した世界を、今度は人類の手で護ろうと言う教義を訴えている。まさかこの組織の内部に〈禍神〉がいるなどとは、誰が思うだろうか。〈禍神〉はいる筈が無い、と思い込ませるには充分な存在だ。
     故に、そこに存在するのでは、と言う煙が立つのも頷ける話だ。……だが、あくまでそういう仮定が成り立つと言う話であって、確実にそこに〈禍神〉が存在するかと言えば、不明瞭のままだ。現に〈救世人党〉の党首補佐はその疑惑を真っ向から否認した。最早手の打ちようが無いのが現状だ。
    「まぁ、焦る事も無いか。ゲームスタートまでまだ三日も残されてる。……それまで通うぞ、【大聖堂】に」
    〈牙〉はそう呟いた後、蚊の鳴くような声で、更に言葉を続けた。
    「……そうか、もう三日、なのか……」
     終わりを意識した声は、是烈の耳にさえ届かなかった。
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